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院長

熱い医師の「最後の講義」

NHK Eテレ(旧NHK教育)には「最後の講義」という番組があります。
もし人生が最後だとしたら、何を伝えたいか——。
各界の著名人がそのテーマで講義を行う番組です。

先日、現在の上皇陛下の冠動脈バイパス術を執刀された 天野篤先生 の回が放映されました。
天野先生には個人的にも懇意にしていただいています。
私の次男が中学生の頃、「将来なりたい職業の大人にインタビューする」という課題があり、天野先生にお願いしたことがありました。多忙な中にもかかわらず快く引き受けてくださり、1時間ほど熱い話を聞かせていただいたようです。その影響もあってか、次男は医師となり、現在は整形外科医として働いています。(産婦人科ではありませんが)
そんな天野先生から「ぜひ観てね」と言われた以上、観ないわけにはいきません。
しっかり拝見しました。

天野先生の熱量と「平等の原則」
番組では、日大医学部での講義風景が映し出されていました。
医学生だけでなく、他学部の学生や医師も聴講していたようです。
天野先生はアントニオ猪木が大好きで、LINEのスタンプも猪木のもの。
入場曲はもちろん “INOKI BOM-BA-YE”。
熱血漢ゆえに誤解されやすい言動もありますが、実際にはとても腰が低く、優しい先生です。
講義の中で、私が最も心を打たれたのは 「平等の原則」 の話でした。
陛下は、国賓であっても、被災地で出会う一般の方々であっても、
態度を変えることがない——。
天野先生はその姿勢を目の当たりにし、
「自分は有名人を手術して有名になろうとしていなかったか?」
と自問されたそうです。
そして、それを否定できなかった。
だからこそ、どんな患者さんであっても対等に向き合うことを心に決めた——

その言葉が深く響きました。

私自身への問いかけ
この話は、私自身にも突き刺さるものがありました。
大学時代、「自分がのし上がるために治療を利用してしまっていなかったか?」
そう問われたように感じたのです。
そして、毅然と否定できない自分がいました。
今は大学を離れ、あの競争から遠ざかりました。
だからこそ、のし上がるための手術からも距離ができ、
むしろ今の方が安定した治療ができているように思います。
もちろん、大学時代から引き継いだ大きなプロジェクトの結果も出せるようになってきました。
ただそれは、自分がのし上がるためではなく、
純粋に患者さんのために取り組めるようになったからなのかもしれません。

再放送のお知らせ
再放送は 10月25日(日)16時 とのことです。
よろしければぜひご覧になってみてください。
https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-4N7KX1GKN7/ep/AEEV8DMEX6