【学会参加レポート】AIが卵子の“成熟度”を見極められるか
時間があいてしまいましたが、2026年1月に開催された日本臨床エンブリオロジスト学会の参加レポートになります。 シンポジウムのテーマに「AIの導入がラボ業務にどのような変化をもたらすのか?」というものがありました。 受精卵・胚盤胞を評価するAIは以前からありましたが、卵子凍結が広く認知され多くの女性が行うようになったことからか、近年卵子の成熟度を評価するものが見られるようになったと思います。 妊孕…
マズローの欲求5段階と、その歪みについて
マズローの欲求5段階説というものがあります。人間の欲求はピラミッド状に構成され、下位の欲求が満たされると、より高次の欲求へ移行するという理論です。米国の心理学者マズローが提唱したもので、「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5つから成ります。まず、生理的欲求とは食事や睡眠など、生きるために不可欠なもの。安全欲求は、身の危険や不安から離れ、安心して暮らしたいという欲求…
生(性)と死──向き合うべき大きな課題
先日、SNS上で「日本の終末期医療は医療費の無駄遣いだ」という論調が話題になっていました。これに対し、一部の医療者からは「患者家族が延命治療の中止を受け入れないからだ」という意見も見られました。私は大学を離れて久しく、がん治療などの終末期医療に直接関わる機会は最近ありません。しかし、あくまで私見として言えば、家族が“死”を受け入れることは本来とても難しいのだと思います。日ごろから死について考えるこ…
ルッキズム重視?ガードナー分類について
前回のブログではAIによる胚培養士の主観に頼らない胚評価(iDAスコア)についてお伝えしましたが、今回はものすごく胚培養士の主観に頼った評価のお話です。 当院で採卵・胚凍結を行った患者様(保険診療の方は先進医療のタイムラプスをご希望された患者様)にお渡ししている「体外受精 胚凍結記録」にはガードナー分類というものも記載されています。 これはAIのように客観的な評価ではなく、胚培養士が胚のタイムラプ…
卵子凍結モデル事業が国の議論へ──浦安から始まった挑戦が、いま新たなステージへ
はじめに先日、国民民主党の岡野純子議員が、国会でこども家庭庁が予定している「卵子凍結モデル事業」について質問されました。岡野議員は政治家としてのスタートを浦安市議会議員から切られた方であり、その頃に私が浦安市で行った卵子凍結プロジェクトにもご協力いただきました。今回の質疑は、その延長線上にあるものだと感じています。10年越しに、当時は前例のなかった取り組みが、国の政策として議論される段階にまで進ん…
不妊カウンセリングを「伝える」ということ -ドラマ撮影に参加して感じたこと-
先日、ご縁がありドラマの撮影に参加しました。現在制作中のため詳しい内容はまだ公表できないのですが、専門職の学びを目的とした映像制作で、ドラマ形式である場面を再現するという試みでした。 今回の撮影を通して感じたのは、普段の臨床の場面を「学びの素材」として伝えることの難しさと面白さでした。 日常の臨床では、相談に来られる方と一対一で向き合い、その場で生まれる言葉や沈黙、表情の変化を感じ取りながら関わっ…
AI胚評価システム「iDAスコア」を導入します!
2026年3月より当院で採卵・胚凍結を行った患者様(保険診療の方は先進医療のタイムラプスをご希望された患者様)にお渡ししている「体外受精 胚凍結記録」にiDAスコアを記載することになりました。 今回は新導入されたiDAスコアについてのブログになります。 iDAスコアについて まとめ AI技術の進歩によって、胚評価はより客観的で再現性の高いものになりつつあります。当院でも、培養士の目とAIの解析を組…
