院長

医療訴訟と合併症NEW

我々産婦人科医にとって忘れられない事件に、福島県立大野病院での癒着胎盤による母体死亡の事例があります。後ほど触れますが、医療には100%の安全は存在せず、どれほど医療従事者が尽力しても、一定の確率で合併症は起こってしまいます。産科では、妊娠・分娩中の急変により母子が命を落とすことは極めて稀ではあるものの、毎年発生しています。突然の大量出血や胎児の急変など、産科医療は常にリスクと隣り合わせです。 し…

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不妊カウンセリング学会養成講座に参加して—— 生殖の権利をめぐる日本社会の歩み

先日、不妊カウンセリング学会の養成講座に出席し、北村邦夫先生の座長を務めさせていただきました。北村先生は、日本における性と生殖の健康・権利(SRHR)の普及に長年尽力されてきた方であり、その歩みは後世に確実に残るだろうと感じています。 SRHRとは、「妊娠するかしないか、いつ産むか、何人産むかを自分で決める権利」を指します。しかし日本では、特に女性の権利としてこの考え方が十分に浸透してきたとは言え…

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人間的自信

私がYMOの「東風」という曲をこよなく愛していることは、以前このブログでも書きました。その作曲者である故・坂本龍一氏が、同じくYMOのリーダーだった細野晴臣氏との対談の中で、「最近になって関係が良くなった」と語っていたことがあります。“最近”といっても坂本氏がまだお元気だった頃の話ですから、すでに何年も前のことになります。YMO解散の背景には、お二人の関係悪化があったと言われています。それだけに、…

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マズローの欲求5段階と、その歪みについて

マズローの欲求5段階説というものがあります。人間の欲求はピラミッド状に構成され、下位の欲求が満たされると、より高次の欲求へ移行するという理論です。米国の心理学者マズローが提唱したもので、「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5つから成ります。まず、生理的欲求とは食事や睡眠など、生きるために不可欠なもの。安全欲求は、身の危険や不安から離れ、安心して暮らしたいという欲求…

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生(性)と死──向き合うべき大きな課題

先日、SNS上で「日本の終末期医療は医療費の無駄遣いだ」という論調が話題になっていました。これに対し、一部の医療者からは「患者家族が延命治療の中止を受け入れないからだ」という意見も見られました。私は大学を離れて久しく、がん治療などの終末期医療に直接関わる機会は最近ありません。しかし、あくまで私見として言えば、家族が“死”を受け入れることは本来とても難しいのだと思います。日ごろから死について考えるこ…

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聖路加国際病院

当院は、メディカルパーク湘南本院をはじめ、多くの医療機関の皆さまに日頃より支えていただいております。単科のクリニックであり、入院機能を持たない私たちにとって、地域の病院や専門施設との連携は欠かすことができません。けいゆう病院をはじめ、さまざまな施設に日々助けていただいており、心より感謝しております。 先日、共同プレスリリースを行った研究プロジェクトでは、当院のようなクリニックが参画させていただくこ…

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卵子凍結モデル事業が国の議論へ──浦安から始まった挑戦が、いま新たなステージへ

はじめに先日、国民民主党の岡野純子議員が、国会でこども家庭庁が予定している「卵子凍結モデル事業」について質問されました。岡野議員は政治家としてのスタートを浦安市議会議員から切られた方であり、その頃に私が浦安市で行った卵子凍結プロジェクトにもご協力いただきました。今回の質疑は、その延長線上にあるものだと感じています。10年越しに、当時は前例のなかった取り組みが、国の政策として議論される段階にまで進ん…

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あれから15年

あれから15年。今日という日は、毎年、私たちの胸に静かに重さをもたらします。被災された方々に哀悼の意を表するとともに、今なお続く廃炉作業をはじめ、一日も早い復興を心より祈念いたします。私はあの日、まさにその時、腹腔鏡下手術の最中でした。当時の順天堂大学一号館は耐震構造ではあったものの免震構造ではなく、震源から離れていたとはいえ大きく揺れ、手術を一時中断せざるを得ませんでした。患者さんのベッドは床に…

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日本の出生数が過去最低を更新──だからこそ、生殖の“現実”を正しく知る必要があります。

2025年、日本の出生数は 705,809人 と発表され、10年連続で過去最低を更新しました。この減少スピードは政府の想定を上回っており、日本社会はこれまで経験したことのない人口構造の変化に直面しています。出生数の減少は、単に「子どもが減っている」という話ではありません。結婚・妊娠・出産のタイミングが後ろ倒しになり、結果として 妊娠が成立しにくい年齢で初めて妊娠を考える人が増えている という、深刻…

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終わったはずでは?

先日、とある名作アニメがテレビで放映されました。同時に横浜では関連フェスティバルも開催されていたようです。30年にわたり続いてきた(続いたというより、引っ張られてきた?)シリーズの完結編として制作された劇場版がテレビで流れたことに、何とも言えない感慨を覚えました。30年前といえば、私は医師になったばかり。紆余曲折の多い時期でもあり、あの鬱々としたアニメの世界観と自分の人生をどうしても重ねてしまって…

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