湾岸ミッドナイト

「湾岸ミッドナイト」は少し古い漫画ですので、特にお若い方はご存じないかもしれません。ただ、現在(6月8日まで)期間限定でネット上にて無料公開されており、ぜひ一度お読みいただきたい作品ですので、ご紹介させていただきます。

作品としては、いわゆる“車漫画”で、違法ではありますが首都高速湾岸線で最高速を競い合うというテーマが物語の主軸です。しかし、その中で語られるチューナーたちの言葉の数々が、ある意味で哲学的であり、詩的な名言に満ちています。

これまでも何度か話題になってきた作品ですが、最近Xで再び名言が注目され、それを受けてヤンマガWebで無料公開となったようです。講談社の方々、そして作者の楠みちはる先生には感謝申し上げます。ぜひこの機会にお読みいただきたいと思います。

数あるエピソードの中でも、特に印象的なのが「ブラックバード」と呼ばれる(実際には自称したエピソードがあります)医師・島達也が乗るポルシェ911ターボの話です。今でこそ「医師の給与は大したことがない」と一般の方々にも知られてきていますが、当時はまだ“医師=高給”というイメージが強かった時代。その中で描かれる島先生の生活は、妙にリアルなのです。

同僚たちがBMWの3シリーズなどに乗る中、彼だけが高額なブラックバードに乗っている。どうしてそんなことができるのかと問われたときの彼の答えが、
「カンタンですヨ すべてつぎ込んでるからですヨ」
という一言。
(ちなみに、湾岸ミッドナイトではカタカナ表記が多用されます。)

何かに没頭し、すべてを注ぎ込むことで得られるもの。その本質を端的に表現した、珠玉の名言だと思います。

なお、楠みちはる先生は高知県のご出身だそうです。私も高知出身ということもあり、勝手ながら親近感を覚えています。名言が随所に散りばめられた本作は、単なる車漫画としてだけでなく、私は“哲学書”としても読むことができる作品だと考えています。
『湾岸MIDNIGHT』 【無料公開中】 | ヤンマガWeb