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特別編 院長

~特別編~ 第20章(最終章):エピローグ──幸せになるという約束

私の人生は、気がつけばもう後半を過ぎ、静かにエピローグへと向かっています。
振り返れば、私は決してひとりでここまで来たわけではありません。
むしろ、数え切れないほど多くの方々に支えられ、導かれ、背中を押されてきました。

落ちこぼれとして始まった私のキャリアは、
師匠や恩師、先輩、後輩、そして家族──
そのすべての存在によって形作られてきたものです。
とりわけ、もう言葉を交わすことが叶わない方々。
感謝を伝えることすらできなくなってしまった師匠や恩師、
そして早くに旅立ってしまった後輩たち。
彼らの存在は、今も私の心の中で静かに息づいています。
「今の自分が幸せでいること」 
それこそが、彼らへの最大の感謝のしるしなのかもしれません。
そう思えるようになったのは、人生の後半に差し掛かった今だからこそでしょう。
メディカルパークに移ってから、私はもう手術をしていません。
しかし、毎日患者さんと向き合い、言葉を交わし、未来を一緒に考える──
その時間は、私にとって何よりも尊いものです。
医師はやはり、臨床の現場にいるべきだと私は思っています。
そして今の私は、ここが自分の居場所なのだと、心から感じています。
仕事は確かに重要です。
私はこの仕事を通じて、少しは社会に貢献できたのではないかと自負しています。
しかし、私は医師である前に、一人の人間です。
その背後には、私自身の人生があり、家族がいます。
人は誰しも多面的であり、
他者から期待される役割も、人生のフェーズによって変わっていきます。
だからこそ、目の前の相手の“背景”に思いを馳せること──
それが人間関係を豊かにし、社会を少しだけ優しくするのだと思います。
私自身も、人生のフェーズが変わりました。
これまでの人生を否定することなく、
そしてこれからの人生も否定することなく、
ただ静かに、しかし確かに前へ進んでいく。
これまで私は、やりたいことをやり、
誰かの未来に少しでも貢献できたのなら、それは幸せな人生だったのでしょう。
そして今、私は新たなステージに立っています。
これからは、これまで支えてくれた家族に恩返しをしながら、
また別の形で他者に貢献できる人生を送りたいと考えています。

あの後輩が最後にかけてくれた言葉──
「幸せになってください。医局の後輩は先生を見ています。」
その言葉は、今も私の胸の奥で静かに響き続けています。
だから私は、幸せでありたい。
そして、幸せであり続けたい。
それが、
私を導いてくれたすべての人への、
そしてあの後輩への、
私なりの“約束”なのです。