院長

保険診療についての愚痴

私は大学時代には保険担当医を務めていいたこともありますし、機会を頂き、厚生労働省に何度かお伺いさせていただいたこともあります。特に不妊治療の保険適用については、意見交換もいたしました。故、それなりに保険診療についての知識は持ち合わせているつもりではあります。 そこで愚痴にはなってしまうのですが、私の意見を述べたいと思います。以前このブログでお話させていただいたように、保険診療の仕組み自体、変化して…

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ウォーキズムとバックラッシュ

“ウォーキズム”という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?”ウォーク”とは”woke”即ち“気づいた”、“気づいている”という意味で、特にマイノリティの方々が、置かれてしまっている差別的な状態に対して警鐘を鳴らす意味があったようです。そのような意味においては、尊重されるべきものだと思われますし、まさに当事者以外が“気づかされる”ことも多くあるでしょう。多様性の社会においては、それによる“気づ…

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腹腔鏡のトロカール配置とポルシェ911

ポルシェ911というスポーツカーをご存知でしょうか?リアエンジンリアドライブ(RR)、という昔ながらのレイアウトの車です。私は自動車評論家ではありませんので、ごく簡単にしかご説明できませんが、最近主流のフロントエンジンフロントドライブ(FF)は、車の後ろ半分が自由に設計できる一方で、前部分にエンジンと操舵と駆動機構全てを詰め込まなければならず、昔は技術的に困難だったそうなのです。また、スポーツカー…

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メディア取材へのご協力に感謝

3月1日から8日までは、厚生労働省が定めた女性の健康週間です。それに伴い、毎年2月頃にはメディアの取材をお受けすることが多くなります。このブログでもよくお話しさせていただいておりますが、女性特有の疾患や妊娠・出産など、女性にしかできないことがありますので、当院のような不妊クリニックにメディアの方が取材にいらっしゃるのでしょう。 先日も取材をお受けしましたが、記者の方々は皆さま異口同音に「当事者の方…

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子宮内膜症と不妊症②(深部子宮内膜症の診断法について)

前回は、卵巣チョコレート嚢胞(子宮内膜症による卵巣嚢腫)の場合には、体外受精を前提とするのであれば、手術をせずに体外受精を先行した方が良い、というお話をいたしました。もちろん、大きな卵巣嚢腫があり、妊娠中の破裂リスクがあれば、胚凍結を行い、手術後に胚移植を予定する、「ハイブリッド治療」も選択可能です。 ただし、非常に強い腹痛や、月経困難症を引き起こす原因にもなる、「深部子宮内膜症」については、熟練…

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オールドメディアとSNS

昨今のSNSなどのネット情報の発展は目を見張るものがあり、新聞・テレビやラジオなどよりも、SNSから情報を得る方々が、特に若者を中心に急増していると言われます。誰でも気軽に情報発信ができるようになったことは、喜ばしいことである反面、でたらめな情報が拡散されてしまうリスクを孕むことにもなりました。特にSNSはそれを見る方がよく検索する情報を主に表示する機能がありますので、いわゆる「エコーチャンバー現…

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プレコンセプションケアの炎上と男女差別

少し前、ニュースにもなっていたのですが、SNSでとある地方のプレコンセプションケアについての冊子が“炎上”しておりました。年齢によって妊娠・出産が難しくなることについて、イラストなどを用いてやや脅しに近いようなニュアンスで記載していたためです。35歳の卵子の見た目が高齢者のようなイラストだったり、そこにアプローチする精子が“熟女キラー”とされていたりと、かなり問題のある内容だったと私も感じました。…

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子宮内膜症と不妊症①(治療方針について)

子宮内膜症は20代から30代の女性に好発する月経困難や下腹部痛、性交痛などを呈するご病気で、妊娠を考える年代に合致するため、不妊症の原因にもなる、今後妊娠を目指す方にとっても厄介なものです。基本的な病態として、発症する部位によって「腹膜病変」「卵巣子宮内膜症」「深部子宮内膜症」「他臓器子宮内膜症」の4つに分けられます。卵巣子宮内膜症は、卵巣嚢腫として超音波などで診断できますが、腹膜病変については、…

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プレコンセプションケアについて

”プレコンセプションケア“、最近この言葉をよく耳にするようになりました。文字通り、前を表す”プレ“が妊娠を表す”コンセプション“にかかっており、将来の妊娠を考えて健康をケアする、という意味になります。妊娠・出産はその多くが女性の身体にご負担をかけることでもありますので、子ども家庭庁のHPでは、「女性やカップルを対象として、将来の妊娠のための健康教育を促す取組」とされております。しかしながら、パート…

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直美と闇バイト

このように記載すると、“直美さん”という方のお話のように思われてしまうかもしれませんが、直美さんという女性のお話ではありません。我々医師は研鑽を積んで、私であれば産婦人科の専攻医を経て、産婦人科専門医、その先のサブスペシャリティーである、例えば、不妊治療専門医を目指すのが一般的でした。それに対し、初期研修医終了後、そのまま美容外科に入局することを直接美容に行く、という意味で“直美”と呼ぶようです。…

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