当院での精子凍結について
院長のブログでも紹介がありましたが、2024年6月より精子凍結が保険適応で行える・併用できることとなりました。ではどのような時に保険診療または自費診療になるのでしょうか。
精子凍結を行う場合
当院では・・・
- 採卵時に精子を持参できない場合や当日採精が不安な場合
- 長期出張や単身赴任・海外赴任等で当日採精ができない場合
- 精巣内精子採取術(TESE)によって得られた精巣内精子の場合
- 高度乏精子症の場合
- がん治療を行う予定がある場合
- SRSを検討している場合
このような時に、精子凍結を行っています。保険診療の対象は3.と4.になります。
また、1.2.5.の場合は自費診療になりますが、ARTだけでなく精子所見が良好の場合人工授精においても使用できることや複数に分けて凍結することも可能です。
同意書について
事前に「精子凍結と保存に関する同意書」をお渡ししていますので凍結日までに提出をお願いいたします。また、凍結本数が決まった際には本数に応じて「凍結保存精子の使用に関する同意書」をお渡しいたしますので使用時にその都度同意書を提出してください。
保存期間について
保存期間は1年間です。凍結日から1年ごとに延長・終了のお手続きが必要となります。保険での延長の場合はパートナーと一緒にで来院しお手続きをしていただきます。
保存延長:保存延長同意書の提出と凍結精子維持管理料の支払いが必要となります。
保存終了:保存終了同意書の提出が必要となります。
※保存期間を超過して半年間お手続きがない場合※
凍結精子維持管理料が1年ごとに毎年加算し請求させていただきますのでご注意下さい。
また、名称変更に伴い同意書の内容の変更がございますのでご理解の程宜しくお願い致します。
費用について
自費:凍結1本あたり 22,000円
保険:3.の場合6,500円 4.の場合3,000円 ※複数本に分けて凍結しても費用は変わりません。
1年の保存期間が過ぎて保存延長したい場合、凍結精子維持管理料の支払いが必要となります。
1年間の保存延長で・・・
自費:22,000円/年
保険:2,100円/年
となります。
精子凍結当日の流れ(3.以外)
- 院内またはご自宅で採精し当院へ提出していただきます。提出後は診察室に呼ばれるまで待合室にてお待ちください。
- 培養室にて精液検査を行い濃度や運動率,正常形態率を算出していきます。
- 診察室にて医師より検査結果を説明し、凍結本数を決めていきます。保険診療の対象になるかはこの時の検査結果で決まります。
- 凍結本数が決まり次第、培養室にて遠心洗浄・濃縮を行い-196℃で凍結を行います。
※精子凍結の具体的な方法については過去の培養室ブログをご参照ください。
精子凍結の流れ(3.精巣内精子採取術(TESE)によって得られた精巣内精子の場合)
- 当院では横浜市立大学付属市民総合医療センター男性不妊外来との連携を行っているため、こちらにご紹介し受診していただきます。もしくは大学付属市民総合医療センターより紹介をいただき当院に通院していただく場合もあります。
- 横浜市立大学付属市民総合医療センターでの精巣内精子採取術(TESE)実施日を決めていきます。
- 精巣内精子採取術(TESE)実施当日、当院の胚培養士もオペ室に待機します。患者様より採取された組織片を当院の培養室へ運び、精子の有無や運動精子濃度を算出し凍結本数を決めていきます。※この時患者様は市大にて入院していますので途中経過は市大にて、詳細結果は当院にて説明させていただきます。
- 凍結本数が決まり次第、培養室にて洗浄・濃縮を行い-196℃で凍結を行います。
※精巣内精子採取術とは?過去の培養室ブログでご紹介しています。
★当院では月2回ほど横浜市立大学附属市民総合医療センター男性不妊医師の黒田晋之介先生が男性不妊外来を行っています。ご興味のある方はお問い合わせください。
最後に・・・
精子凍結は医学的に安全性が立証されており、融解後に体外受精や人工授精などに使用し妊娠にいたった場合も、胎児に影響が出た報告はありません。
ただし、凍結した精子は少なからずダメージを受け、運動率が低下します。そのため、元々数が少ない場合や運動率が低い場合は、体外受精(IVF)や人工授精(AIH)に移行できない場合もありますのでご注意ください。
精子凍結をご検討の際は医師・スタッフにご遠慮なくご相談ください。