プライドをかけた戦い
人には誰しもプライドがあります。普段は温厚な方でも、大切にしているプライドが傷つけられた瞬間、まるで別人のように豹変することすらあります。それほど、プライドとは人にとって重要なものなのでしょう。深く傷つけられたときには、争いに発展してしまうこともあるのかもしれません。過去の戦争の多くも、イデオロギーや宗教の違いの背後に、実は“プライド”が絡んでいたとも考えられます。
このようにマクロな視点で見ると、プライドは個人の問題にとどまらず、集団や組織、さらには国家のプライドとして、命を懸けてまで守られる対象になることがあります。そこから個人に視点を戻すと、他者のプライドに配慮することの重要性がより鮮明になります。
医療の現場でも同じです。治療に臨むご夫婦にはそれぞれのプライドがあり、男女でその性質が異なることもあります。不妊治療はどうしても女性中心になりがちですが、パートナーである男性のプライドにも丁寧に配慮する必要があると感じています。
組織におけるプライドについても触れておきたいと思います。医療機関では、「この治療ならどこにも負けない」といった専門性が、その施設の誇りであることが多いものです。特に一つの領域に特化している場合、その傾向はより強くなるでしょう。
では、私自身のプライドはどうかと考えると、正直なところ、プライドを懸けて戦うようなエネルギーは、今はあまり残っていないように感じています。当院として結果を出すことはもちろん重要ですが、私個人として「守るべきプライド」は何かと問われると、あまり思い当たりません。これは加齢によるものかもしれませんし、性格的なものかもしれません。ただ、競争心の根底にはプライドがあるとすれば、こうしたスタンスは競争には向かないのかもしれません。
しかし、私たちが行っている医療で最も大切なのは、患者さんにとってのベストを尽くすことです。誰かと競う必要はなく、目の前の患者さんにとって最善の選択を探ることこそが本質だと思っています。他者を気にする必要はありません。
そんなわけで、これからも私はこのスタンスで歩んでいきたいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


