ルッキズム重視?ガードナー分類について
前回のブログではAIによる胚培養士の主観に頼らない胚評価(iDAスコア)についてお伝えしましたが、今回はものすごく胚培養士の主観に頼った評価のお話です。
当院で採卵・胚凍結を行った患者様(保険診療の方は先進医療のタイムラプスをご希望された患者様)にお渡ししている「体外受精 胚凍結記録」にはガードナー分類というものも記載されています。

これはAIのように客観的な評価ではなく、胚培養士が胚のタイムラプス画像、または直接胚を顕微鏡下で観察して形態(胚の姿形・見た目の良さ)を評価します。
そのため観察した胚培養士の主観が如実に表れることとなります。
※当院では胚培養士複数人が胚を観察しますので、一人の主観が反映される訳ではありません。
今回は、胚に対するルッキズムを重視したガードナー分類についてのお話となります。
ガードナー分類とは?
ガードナー分類は、胚盤胞を評価する分類法です。
3つの項目
- 発育段階
- 内部細胞塊
- 栄養外胚葉
で胚盤胞のグレードを評価します。
発育段階(胞胚腔の広がりの程度)【1~6の6段階】
1…胞胚腔が1/2以下の初期胚盤胞
2…胞胚腔が1/2以上の胚盤胞
3…胞胚腔が全体に広がった胚盤胞
4…胞胚腔が拡大し透明帯が薄くなった拡張期胚盤胞
5…透明帯から一部飛び出している胚盤胞
6…透明帯から完全に脱出した胚盤胞

内部細胞塊(後に胎児となる細胞)の評価【ABCの3段階】
A…細胞が密である
B…細胞密度がやや均一さに欠ける
C…細胞数がかなり少ない、まったくない
栄養外胚葉(後に胎盤となる細胞)の評価【ABCの3段階】
A…細胞が密で均一な単層を形成している
B…細胞数がやや少なく均一さに欠ける
C…細胞数がかなり少なく均一さにかける、もしくはみられない
評価の方法
ガードナー分類は
【発育段階+内部細胞塊の評価+栄養外胚葉の評価】
の順に示されたものになるので、例えば「4AA」というグレードは、
- 発育段階は→4…胞胚腔が拡大し透明帯が薄くなった拡張期胚盤胞
- 内部細胞塊の評価は→A…細胞が密である
- 栄養外胚葉の評価は→A…細胞が密で均一な単層を形成している
となります
一般的に、内部細胞塊および栄養外胚葉は、Aに近いほど細胞数や形態が良好であると評価され、Cに近づくにつれて評価は低くなります。そのため、「AA」や「AB」などA評価を含む胚は良好胚とされます。
一方で、「BB」や「BC」「CB」などの胚は、細胞の状態により評価がやや低くなります。現在、当院では良好胚盤胞を「4BBより高いグレードの胚」と定義しています。
気になる各グレードの妊娠率
胚盤胞をグレーディングすると気になるのは各グレードの妊娠率です。開院から2025年までに実施した発育段階4および5の胚を移植した症例を対象に、胚のグレードごとの臨床妊娠率を比較しました。


発育段階4・5どちらのグループでもAA評価の胚盤胞は妊娠率が高く、続いてBA>AB>BBとなっています。つまり、内部細胞塊・栄養外胚葉どちらも細胞が密で均一の方が妊娠率が高いという事になります。
まとめ
前回ご紹介したiDAスコアも今回のガードナー分類にもいえることですが、最良のスコア・AAの評価の胚盤胞でも妊娠率は100%ではないという事です。
AIの評価も胚培養士の評価も個々の胚の運命を保証できるほど決定的なものではなく、AA評価の胚盤胞のiDAスコアが低いといったこともその逆の事もあります。
それでも評価の高い胚盤胞の妊娠率が低い胚盤胞より良いのも事実です。当院では、より良好な胚の育成を目指し、培養環境の最適化および培養技術の向上に日々取り組んでおります。
不妊治療に関して、少しでもご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
培養室では今後も、患者様に安心して治療を受けていただけるよう、より良い技術の提供に努めてまいります。

