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特別編 院長

~特別編~ クリニカルパスとクリティカルパス

医療マネジメントを語るうえで欠かせない概念が、クリニカルパスとクリティカルパスです。
もともとは土木や工業分野で使われていた「工程表」の考え方であり、それを医療に応用したものが医療的なクリティカルパスとなります。
この二つの用語が併存しているのは少し言いづらい背景があり、背後にある学会が異なるためです。
基本的な考え方としては、工程を進めるために必要なチェック項目が各段階にあり、それらを俯瞰できるチャート──と捉えていただくと分かりやすいと思います。
患者さんの状態によって次のフェーズに進めるかどうか(初回歩行、食事開始など)を確認し、退院までの日程を管理するための概念です。
私たちはこれを外来管理にも応用し、手術適応をグループ内で共有し、術前・術後の管理を統一しました。
手術適応や術式、周術期管理が統一されれば、臨床データの集計が容易になり、数多くの臨床論文を作成することができました。

さて、医療では「クリティカルパス」という用語が使われていませんでしたが、この概念は戦艦大和の建造時にも用いられたとされています。
私の師匠は戦史がとても好きで、戦艦大和も大好きな先生でした。そのため、このクリティカルパスには強い思い入れがありました。
結果として、医療マネジメント学会──クリティカルパスを中心に医療の管理を扱う学会で、シンポジストとして登壇する機会をいただくまでになりました。

冒頭で触れたように、医療マネジメント学会では「クリティカルパス」、一方でクリニカルパス学会では「クリニカルパス」という用語を使います。
“クリニカル”は医療現場の言葉ですが、もともとの成り立ちを考えると、
次の工程に進めないような“クリティカル”な問題がないかを確認するという概念からは、
工業分野の歴史を踏まえると「クリティカルパス」の方がしっくりくるように私は感じています。

このおかげで、1学年下の島貫先生とともに学会に参加する機会を多くいただきましたし、
この経験こそ私が大学病院の電子カルテ導入委員に選ばれた理由の一つでもあったのだと思います。

私の回顧録全体に通じることですが、何かを目指して(野心を抱いて)進むというよりも、
偶然の出会いの中で尽力し、
その中に楽しさを見出すことで、
また別の道が開けていく──
これは、そんな出来事のひとつだったと今では思い返しています。