培養室
【お知らせ】子宮内フローラ検査について
膣や子宮には菌が共生している!?という考えが一般化しつつあります。一昔前には子宮内は無菌であると言われておりましたが、2015年に米国の研究者によってこの考えが異なっているという事が分かりました。 菌というと、何となくばい菌のイメージが出てくるかもしれません。しかし宿主となる私たち人間と共生する常在菌と呼ばれるものは、感染に対する防御機構の一翼を担っています。 その代表的な菌がラクトバチルス…
【設備技術紹介】インキュベーターのお話
今回は当院で使用しているインキュベーターについてお話します。 インキュベーターとは、温度を一定に保つ機能を有する装置のことをいい、卵子、精子、受精卵などの配偶子や接合子を培養する際に使用しています。 本来卵子や受精卵は生体内で発育するため、体外の異なる環境下では発育に限界があります。温度や酸素、二酸化炭素などのガス環境は体内と体外で大きく異なり、体外のガス環境では胚の成長に影響を及ぼすこと…
【お知らせ】凍結液アップグレード
2月よりメディカルパーク横浜院での凍結液がアップグレードされます。 アップグレードされる凍結液については、世界最高クラスの改良組成を行っておりその安全性・効果は凍結史上最良の実績を得ているそうです。 本来、卵を凍結融解すれば少なからずダメージが加わる事が自然な考えかと思います。即ち高い生存率であることは卵へのストレスも僅かで済むという事を示唆していると考えられます。 開発者である桑山博士は…
【お知らせ】学会参加報告
先日、お時間をいただき学会に参加して参りました。日本臨床エンブリオロジスト学会と呼ばれる学会で、胚培養士(エンブリオロジスト)によるエンブリオロジストのため学会となっています。専門職である我々の技術をブラッシュアップすべく、御高名な先生方によって運営されており非常に多くの価値ある情報を持ち帰る事ができました。 1/13の体外受精説明会では参加者の方に所感をお伝えしましたが、改めてこちらで報…
【基礎内容】培養液について②
昨年12/21に載せました「培養液について①」の続きです。 前回は実際に使用している培養液についてご紹介しました。 今回は培養液とセットで使用するミネラルオイルと移植用の培養液をご紹介します。 少量の培養液(ドロップ)は、外気に触れることで劣化を起こしてしまいます。そこで登場するのがミネラルオイルです。 利点として培養液のpH変動を防止し、また培養液からの水分の蒸発を最小限に抑えること、配偶子や胚…
【お知らせ】2019データ
当院も5月に開院して約半年が過ぎようとしております。節目を迎えるにあたり、これまでに得られた情報を集計してみました。 今回は2019年集計データ(5/15~12/27まで)をお示しします。当院へ通院されている方、又は通院を検討される方において、何か参考になるデータとなれば幸いです。 今年も残すところあと僅かとなりました。闇営業とか、ラグビーとか、タピるとか、色々な話題で賑わいまし…
【基礎内容】培養液について①
身体の中で起こる受精の場は“卵管(卵巣から子宮までの卵の通り道)”です。したがって、培養液とは、卵管から子宮までに分泌される成分を模倣し、受精の場である卵管に存在している栄養素が含まれている液になります。 <培養液が使われるケース(用途に応じて使う培養液の種類が違います)> ヒト血清アルブミン等の生物由来成分や抗生物質を一切含まない、採卵時の卵子の洗浄用メディウムです。Heparinが含まれている…
【設備技術紹介】クリーンベンチのお話
今回はクリーンベンチについてお話します。下の写真は当院のクリーンベンチになります。 クリーンベンチとは、清潔な環境で作業を行うことの出来る作業台のことを言います。外部からの汚染を防ぎ、無菌的な環境を作り上げるのが目的ですが、ではどのようにしてその環境を作っているのでしょうか。 それは空気の循環です。 まず下写真の開口部から外気が導入されます。導入された外気は、天井でHEPAフィルターによ…
【お知らせ】不妊検査キャンペーン
当院では11月より限定的に不妊検査のキャンペーンを行います。 そこでは「女性:卵巣機能検査」「男性:精液所見検査」の2つを対象にしておりますが、今回は「卵巣機能検査」についてお話したいと思います。 *「精液所見検査」についてはブログ内「精液検査について」を参照ください 検査概要 卵巣機能検査では大きく3つの項目を検査させていただきます。 ①LH、FSH、E2について 卵巣機能の生化学的検査になり…
【基礎内容】ART概論について
ARTとは ART(Assisted Reproductive Technology)とは配偶子である精子・卵子を取り扱い、生殖を補助する不妊治療のことです。「高度生殖補助医療」ともいいます。 適応 その他、患者様の年齢、不妊期間、卵巣の予備能を考慮いたしまして適応があれば対象となります。 受精方法の選択 受精方法は、取り出した卵子と精子を合わせて体外で受精させる「体外受精(IVF)」 顕微鏡下で…