培養室

【基礎内容】卵の凍結・融解について

当院での移植は凍結融解胚移植を行っているため凍結融解を行っています。精子・未受精卵子・受精卵(胚)などの細胞を長期保存するためには液体窒素の温度(-196℃)に凍結することが必要です。しかし、細胞の質などによって融解後に必ず安定して高い生存率が維持される訳ではありません。 今回はどのように凍結・融解を行っているかをご紹介します。 凍結保存の歴史 1972年にはプログラムフリーザーを用いる「緩慢凍結…

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【お知らせ】精子処理・取り扱いに関するオプション、試みについて

メディカルパーク横浜では現在、精子に関する新しい試みの準備をしておりました。大きく2つ、その準備が漸くできましたのでこちらでご紹介をさせていただきます。 1 新しい精子調整キット MIGLIS(ミグリス)  当院では体外受精(ART)に関して、お預かりした精液を“遠心分離”することで、精子を集めておりました。この方法では多数の精子を回収する事ができますが、遠心分離による負荷は精子にストレスをかけて…

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【設備技術紹介】凍結保存タンクのお話

 今回は、当院で受精卵を保存しておく凍結タンクについてお話します。 受精後、凍結できる状態にまで成長した受精卵は、次の治療まで液体窒素の入った凍結タンクでその時を待ちます。 *当院ではタンク名に某夢の国のキャラクター名をお借りして識別しています。卵子はプリンセスとか。ちなみに精子保存タンクは王子ではなく、黒いベストにオレンジのセーター...某犬のキャラです。直近で凍結された受精卵はオーロラ姫がお守…

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【お知らせ】2021年ご挨拶

メディカルパーク横浜培養室ブログをご覧いただき誠に有難うございます。2021年も培養室からトピックを記載させていただき、お知らせや実業務・知見についてご報告させていただきたいと思います。  改めまして2020年までのブログを一部整理させていただきたいと思います。待合の空き時間等にでもご覧いただければ幸いです。 病院からのお知らせ 基礎内容 設備技術紹介  振り返ってみると、現在5名のスタッフでブロ…

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【お知らせ】2020年 治療成績の更新

 今年もあと僅かとなりました。新しいトピックとしては、恐らくこちらが今年最後のブログになるかと思います。2020年度のメディカルパーク横浜体外受精治療成績をまとめたのでお知らせします。(尚、こちらは12月21日時点のものになります)。   こちらは治療実績になります。  昨年に比べ、特に卵子凍結のご相談が多かった印象があります。開院から約1年半、今年はコロナウィルスの影響もあり、様々な自粛を余儀な…

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【基礎内容】月経と基礎体温

今回は月経と基礎体温についてお話します。 月経 月経とは、「約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的な出血」です。増殖期に肥厚した子宮内膜が、排卵後の黄体から放出されるプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用により脱落膜化変化し、分泌期となり、プロゲステロンの低下を機に脱落膜化した子宮内膜が剥離、月経となります。ヒトの子宮内膜は生殖年齢期間において約400回の増殖、分化、…

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【お知らせ】生殖医学会演題発表

この度、メディカルパーク横浜培養室から2名、上記学会へ2題の発表を無事に迎えることができました。今年はコロナ感染の拡大防止により、全ての発表がオンデマンド配信となり、Wed講演会となりました。 生殖医療としては非常に大きな学会になりますが、僭越ながら発表の機会をいただき、滞りなく終了する事ができてホッとしています。コメントを頂きましたので載せさせて頂きます。 ■テーマ1■ 「私からは、『顕微授精時…

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【お知らせ】胚培養士募集について

培養士ブログをご覧いただき誠に有難うございます。 メディカルパーク横浜では今後の業務拡大・展開に対応するため、胚培養士の募集告知を致します。 詳細は以下の要項を参照ください。 お問い合わせは y.anzawa@medicalpark-shonan.comまでお願いします。追って今後の流れについてご返信いたします。

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【設備施設紹介】妊孕性温存(がん生殖)のお話

今回は、がん患者における妊孕性温存についてお話します。    国立がん研究センターによると、一生の内にがんと診断される確率は2017年のデータによると男性は65.5%、女性は50.2%です。 2人に1人が、がんになるという確率ですが男女ともに50代から80代で増加するそうです。しかし、その中で多くはありませんが0歳から妊娠可能年齢において、がんになる可能性もあります。 もし、がんと診断されれば抗が…

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【設備技術紹介】新型培養器導入のお話

 この度、新しくインキュベーター(培養器)を導入しましたのでご報告します。体外受精を希望される患者様が増えているのですが、培養環境を低下させる事は避けなければなりません。その為の導入になります。 今まで当院で使用しているインキュベーターは2種類でした。1つは以前お話しました当院の主力となるタイムラプスインキュベーター(受精卵を厳密に管理培養するもの)、もう1つはマルチガスインキュベーター(受精前の…

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