2019.09.10
我々が良く使う専門用語で「適応」という単語がありますが、一般の方々には耳慣れないかもしれません。通常はその状況に合っていること、を示すのですが、医学用語としては、例えば手術などの治療の際、治療に伴う副作用や合併症などのリスクに見合った効果が得られると考えられる場合に「適応」がある、と表現します。リスクが大きすぎる治療法のみならず、どのような治療法にも少なからず副作用はありますから、不必要な治療、す…
2019.08.30
私のブログ、おそらく小中高生でお読みになっている方々はほぼ皆無かもしれませんが、どうしても気になるニュースがありましたので、記しておきたいと思います。もしかしたら、まさにそのような状況に置かれた方々のひとりにでも届けばよいなぁ、と考えます。 気になるニュースとは、夏休み明けの自殺が多いというものです。いじめがすべての原因ではないかもしれませんが、休みが明けて登校する際に、またあの地獄に戻るくらいな…
2019.08.20
「社会性不妊」という言葉があります。私自身はあまり好きな言葉ではないのですが、病気が原因となる「医原性不妊」に対する言葉として使用されます。すなわち、社会的な制約で産みたくても産めない状況を指し、保育所問題や、キャリアアップのためなどによる妊娠・出産時期の先送りがその一例です。 妊娠・出産は非常に個人的なことでもありますが、同時に個人の置かれている政治的・社会的環境によって左右されてしまいます。妊…
2019.08.05
先日、将来なりたい職業について調べようという、とある中学校の課題のお手伝いをさせていただくご縁がありました。具体的には、6名の女子中学生が当院に来院、私がインタビューを受ける、というものです。彼女たちが自分たちの将来についてどのように考え、また、医師についてどのようなイメージを持っているのか、私としても大変興味がありました。 彼女たちはいろいろと下調べしてからいらっしゃっており、「医師になって辛か…
2019.07.27
白血病やがんなどに用いられる化学療法や放射線治療は、生殖腺(卵巣・精巣)にダメージを与えてしまうことがあります。治療法の種類にもよりますが、そのダメージが不可逆な場合には、不妊に繋がってしまいます。よって、めでたく治療が終了し治癒、または緩解したとしても、妊娠が出来なくなってしまうことがあるのです。一昔前でしたら、がんが治って命が助かったのであれば、妊娠は贅沢だ、などと言われたこともあるようです。…
2019.07.15
先日、日本産科婦人科内視鏡学会のガイドラインが届きました。作成に委員として協力いたしましたので、学会からお送りいただいたようです。 ガイドラインの作成ですが、それは大変な作業です。今回委員を務めさせていただいた内視鏡のガイドラインは、5年前に用いられたMINDSというシステムから、GRADEという比較的新しいシステムに変更されて作成されました。MINDSシステムでは、論文のエビデンスレベルに基づき…
2019.07.06
AMH(アンチミュラー管ホルモン)という採血項目があります。数年前に脚光を浴びたことがあり、お聞きになったことがある方も多いかもしれません。当初、“不妊かどうかが採血でわかる”、と過大評価されてしまった経緯があるのですが、基本的に現在では卵巣内に残っている卵子の数(卵巣予備能)のひとつの指標と考えられています。個人差も大きく、年齢とともに低下しますが、特に不妊分野においては、排卵誘発に対する反応を…
2019.07.03
産婦人科は4つの専門に分かれます。まずは産科領域、妊娠・出産が専門であり、それらにまつわる合併症など、妊婦さんを診療する分野です。産婦人科の特徴のひとつでもあり、誕生の瞬間に立ち会い、本当の意味での“おめでとう”が言える分野でしょう。病気を治す、という仕事である以上、他科ではあり得ない喜びがあると思います。 続いて、悪性腫瘍、すなわち、癌の治療の専門です。手術と化学療法を組み合わせ、癌治療に専念す…
2019.07.01
医療制度はそれぞれですので、国によって受けられる医療が違います。体外受精まで保険適応となる国もあれば、我が国の様に自費診療となる国も多いようです。 我が国における国民皆保険制度は、1958年から始まった、世界に誇る素晴らしいシステムです。すべての国民は、保険証一枚で基本的に3割の負担でどこでも治療が受けられます。 例えば、医療費が高いと言われている米国では、その患者さんが加入している民間保険の種類…