【基礎内容】男性不妊について
今回は男性不妊症についてお話します。 近年では挙児を希望するカップルの15%が不妊症であり、その原因は男性のみが24%、男女ともが24%で、約半数は原因因子が男性側にあります。病因は大きく造成機能障害、精路通過障害、性機能障害の3つに分けられます。 ◎造成機能障害 精液検査により精子数の減少や運動率が低下する乏精子症や精子無力症、精子奇形症のことを指します。いずれの場合も正常な良好運…
【設備技術紹介】ヒトリコンビナントヒアルロニダーゼについて
今回は顕微授精(ICSI)を行う際に使用する培養液についてお話します。 顕微授精は採卵した卵子に精子を注入する受精方法ですが、卵子は採卵した時点では卵丘細胞という細胞が卵子の周りについています。 ICSIを行う際はヒアルロニダーゼという酵素により卵丘細胞を取り除くことで卵子の成熟確認や、精子の注入作業を行うことが出来ます。 そこで使用されるのがヒアルロニダーゼ含有培養液です。 当院では…
【お知らせ】第11回日本がん・生殖医療学会学術集会参加
久々のブログの更新です。 タイトルの通り、日本がん・生殖医療学会に参加しました。当院も昨年に日本産科婦人科学会の施設認定を受けまして、今後より情報を集め、学んでいく必要があります。 今回は培養士(技術者側)からの情報提供に関する取り組みや、技術の工夫などの紹介があり、大変勉強になる事が多かったと感じています。 話の主軸としては「がん治療前の妊孕性温存」→「卵子凍結」という事になる訳です…
【基礎内容】卵の凍結・融解について
当院での移植は凍結融解胚移植を行っているため凍結融解を行っています。精子・未受精卵子・受精卵(胚)などの細胞を長期保存するためには液体窒素の温度(-196℃)に凍結することが必要です。しかし、細胞の質などによって融解後に必ず安定して高い生存率が維持される訳ではありません。 今回はどのように凍結・融解を行っているかをご紹介します。 凍結保存の歴史 1972年にはプログラムフリーザーを用いる「緩慢凍結…
【お知らせ】精子処理・取り扱いに関するオプション、試みについて
メディカルパーク横浜では現在、精子に関する新しい試みの準備をしておりました。大きく2つ、その準備が漸くできましたのでこちらでご紹介をさせていただきます。 1 新しい精子調整キット MIGLIS(ミグリス) 当院では体外受精(ART)に関して、お預かりした精液を“遠心分離”することで、精子を集めておりました。この方法では多数の精子を回収する事ができますが、遠心分離による負荷は精子にストレスをかけて…
【設備技術紹介】凍結保存タンクのお話
今回は、当院で受精卵を保存しておく凍結タンクについてお話します。 受精後、凍結できる状態にまで成長した受精卵は、次の治療まで液体窒素の入った凍結タンクでその時を待ちます。 *当院ではタンク名に某夢の国のキャラクター名をお借りして識別しています。卵子はプリンセスとか。ちなみに精子保存タンクは王子ではなく、黒いベストにオレンジのセーター...某犬のキャラです。直近で凍結された受精卵はオーロラ姫がお守…
【お知らせ】2021年ご挨拶
メディカルパーク横浜培養室ブログをご覧いただき誠に有難うございます。2021年も培養室からトピックを記載させていただき、お知らせや実業務・知見についてご報告させていただきたいと思います。 改めまして2020年までのブログを一部整理させていただきたいと思います。待合の空き時間等にでもご覧いただければ幸いです。 病院からのお知らせ 基礎内容 設備技術紹介 振り返ってみると、現在5名のスタッフでブロ…
明けましておめでとうございます
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 さて、すでに1月7日、今年も1週間たってしまいました。すでにご存じとは思いますが、明日から緊急事態宣言が発令されることとなりました。2回目の緊急事態宣言ですが、昨年の緊急事態宣言の際は不妊治療の延期が推奨されたこともありました。その後、学会はその声明を撤回、妊娠の時期を決めることは個人の自由であり、感染状況はその時期、地域で異なるた…
本年もお世話になりました。
気が付けば大晦日、大変だった2020年も今日で終わりです。残念ながら、コロナ禍はまだまだ収まりそうにはありませんが、ワクチンの開発などに期待、来年は何かしらの良いニュースに期待したいと思います。医学の発展は、病原体との戦いでもあったわけですから、時間はかかるとしても、必ずや、この感染症に勝てる日が来ることを信じております。 今年は不妊領域においても、大きなニュースがありました。新政権となってすぐ、…
【お知らせ】2020年 治療成績の更新
今年もあと僅かとなりました。新しいトピックとしては、恐らくこちらが今年最後のブログになるかと思います。2020年度のメディカルパーク横浜体外受精治療成績をまとめたのでお知らせします。(尚、こちらは12月21日時点のものになります)。 こちらは治療実績になります。 昨年に比べ、特に卵子凍結のご相談が多かった印象があります。開院から約1年半、今年はコロナウィルスの影響もあり、様々な自粛を余儀な…