~特別編~第8章:特異な働き方と 3.11

順天堂江東高齢者医療センターでの私の働き方は、少し特異なものでした。先任准教授として部長を務めながら、本院での手術継続を理事長から命じられていたため、週ごとに拠点を移動する生活が続いていました。センターで外来や手術を行いながら、本院では腹腔鏡手術を担当し、さらに電子カルテ導入委員会の業務にも携わる──いわば「二つの病院を行き来する働き方」で、当時としては珍しいものでした。ほぼ毎日手術をしていたため…

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霧の中で気づいたこと──子ども時代の『暇』が育てた想像力

子どもの頃、父と高知の山道をドライブしていたときのことを今でも思い出します。季節は初夏だったのでしょうか。湿った空気が漂い、視界を奪うような霧が立ち込めていました。前を走っていた車は日産のスカイラインで、丸いリアランプがぼんやりと赤く光っていましたが、霧のせいでブレーキを踏んでいるのかどうかが分かりづらかったのです。光量を上げても霧に散乱してしまい、赤い光はただ滲むだけで意味を持ちませんでした。そ…

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~特別編~第7章:米国からの誘いと異動

師匠亡き後、私たちラパログループはがむしゃらに走り続けていました。その勢いもあって、当時の私は学会参加や講演会への招聘が増え、かなり注目を集めるようになっていました。もちろん当直などのデューティーもこなしていましたので、身体には相当な負担がかかっていたはずですが、当時は「皆で頑張らねば」という気持ちが強く、それを大変だとは自覚していませんでした。 そんな中、Tankoでの取り組みが米国クリーブラン…

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~特別編~第6章:師匠の最期──受け継いだもの

入院した師匠は、とても寂しがり屋だったこともあり、ラパログループの誰かが毎日お見舞いに行くことが“義務”のようになっていました。私は木曜の担当でした。 無菌室に入るためには手洗いと消毒が必要で、毎週その手順を踏んで師匠のもとへ向かい、近況を報告しました。本来は師匠が行う予定だった手術、講演、学会発表──それらはすべて私たちに託され、もちろん全てチェックされました。発表スライドも持参し、許可を得てか…

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【学会発表報告】第67回日本卵子学会学術集会

2026年6月6日・7日に開催されました第67回日本卵子学会学術集会で、当院の胚培養士3名がポスター発表を行ってくれました。 今回は発表者から内容についてのブログになります。 ポスター発表:「卵子凍結実施施設別にみた卵子融解の成績」 今回の検討では、当院におけるこれまでの卵子凍結・卵子融解成績を集計するとともに、他施設で凍結された卵子を当院で融解した症例も含めて解析を行いました。その結果、卵子凍結…

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ひろゆき氏の発言は何を映し出したのか──規範の空白と、自由が不安を生む社会で生きるということ

ひろゆき氏の「子どもの憧れの職業にキャバ嬢が入るのは異常」という発言には、実は統計的な裏付けがあるわけではありません。子どもたちが本当に夜職に憧れているというデータは確認されていません。それでも、この言葉に社会が強く反応したという事実そのものが、現代日本が抱える“規範の空白”を映し出しているように思います。発言の正しさではなく、その言葉が触れた不安に、私たち自身の心が反応したのだと感じています。 …

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~特別編~第5章:師匠の野望と失望──教授選の裏側

ラパログループは大躍進し、大学内でも一目置かれる存在となりました。そんな中、師匠はいつからか「主任教授」を目指したいと考えるようになったようです。しかし、その道のりは決して容易ではありませんでした。当時の教授職は、今以上に高いハードルが課されていたのです。師匠には業績もあり、大学への貢献も十分にありました。しかし、当時求められていたのは“オールマイティな総合型の教授”であり、腹腔鏡という分野に偏っ…

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~特別編~第4章:恩師たちの死と医局の変化

落ちこぼれからスタートした私のキャリアですが、師匠のおかげでとても充実した、それもかなり高いものになりました。これについては感謝してもしきれないです。落ちこぼれの私を拾ってくれた当時の桑原教授ですが、ある日、「身体がだるい」と仰るようになり、採血など検査をお奨めしたところ、そこで末期の肝臓がんが発覚。その後入院となったのでした。大学院には、行かず、途中入局の遅れを取り戻すように臨床に明け暮れていた…

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MJと働き方改革──量をこなさずして質は語れない

MJと言えば、我々の世代にとってはマイケル・ジャクソンです。「マイティジャック?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょうど今、マイケルの伝記映画が上映されていることもあり、今回はマイケル・ジャクソンについて書いてみたいと思います。 先日、その映画を観てきました。彼の人生は華々しい成功と同時に、数々のスキャンダルや訴訟に彩られています。そのため、訴訟関連の内容は映画に盛り込めず、またご家族の…

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unclaimed embryos(引き取り手のない胚)にしないために

第67回日本卵子学会学術集会に参加してきました。 学術大会のシンポジウム5は厚労科研共催セッション「凍結検体の保管体制の手引き」を議論するを主題とした発表でした。座長は聖マリアンナ医科大学産婦人科学主任教授でいらっしゃる鈴木直先生で、小児・AYA世代がん患者に対する妊孕性温存療法の第一人者としてご高名な先生です。 小児・AYA世代の妊孕性温存は凍結保存する期間が長期にわたるため、長期間安全に保管・…

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