~特別編~第5章:師匠の野望と失望──教授選の裏側
ラパログループは大躍進し、大学内でも一目置かれる存在となりました。そんな中、師匠はいつからか「主任教授」を目指したいと考えるようになったようです。しかし、その道のりは決して容易ではありませんでした。当時の教授職は、今以上に高いハードルが課されていたのです。師匠には業績もあり、大学への貢献も十分にありました。しかし、当時求められていたのは“オールマイティな総合型の教授”であり、腹腔鏡という分野に偏っ…
~特別編~第4章:恩師たちの死と医局の変化
落ちこぼれからスタートした私のキャリアですが、師匠のおかげでとても充実した、それもかなり高いものになりました。これについては感謝してもしきれないです。落ちこぼれの私を拾ってくれた当時の桑原教授ですが、ある日、「身体がだるい」と仰るようになり、採血など検査をお奨めしたところ、そこで末期の肝臓がんが発覚。その後入院となったのでした。大学院には、行かず、途中入局の遅れを取り戻すように臨床に明け暮れていた…
MJと働き方改革──量をこなさずして質は語れない
MJと言えば、我々の世代にとってはマイケル・ジャクソンです。「マイティジャック?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょうど今、マイケルの伝記映画が上映されていることもあり、今回はマイケル・ジャクソンについて書いてみたいと思います。 先日、その映画を観てきました。彼の人生は華々しい成功と同時に、数々のスキャンダルや訴訟に彩られています。そのため、訴訟関連の内容は映画に盛り込めず、またご家族の…
unclaimed embryos(引き取り手のない胚)にしないために
第67回日本卵子学会学術集会に参加してきました。 学術大会のシンポジウム5は厚労科研共催セッション「凍結検体の保管体制の手引き」を議論するを主題とした発表でした。座長は聖マリアンナ医科大学産婦人科学主任教授でいらっしゃる鈴木直先生で、小児・AYA世代がん患者に対する妊孕性温存療法の第一人者としてご高名な先生です。 小児・AYA世代の妊孕性温存は凍結保存する期間が長期にわたるため、長期間安全に保管・…
~特別編~第3章:昭和の医局文化と葛藤
師匠は何事につけても、今でいうところの“昭和”な人でした。当時の言動は、おそらく現代であればパワハラと認定されるような場面も多々あったように思います。師匠自身も、他施設からの評価と大学内での評価に差があったようで、私たち弟子は常に気を張りながら仕事をしていました。ある夜、医局の窓からふと外を見上げると、向かいのオフィスビルの窓にまだ明かりが灯っていました。「まだ仕事している奴がいる。連中に負けない…
2300年 未来への旅
かなり古い映画ではありますが、考えさせられる内容だったため、今回ご紹介したいと思います。1970年代の作品であり、当時は「人口爆発」と「エネルギー不足」が深刻に懸念されていた時代背景があったことを、まず念頭に置く必要があります。 物語の舞台は遠い未来。生殖は完全に自動化され、子どもは人工的に作られる世界です。人口を調整するため、30歳になると宗教的な儀式によって処刑される――そんな設定だったと記憶…
~特別編~第2章:昭和な師匠との出会い
私の師匠は、武内裕之先生。正直申し上げて、かなり「昭和」な先生でした。当時黎明期にあった腹腔鏡下手術のスペシャリストであり、世界最先端の手術を行っていた先生です。婦人科腹腔鏡手術で名を馳せた順天堂大学、その中心に武内先生はいらっしゃいました。私と師匠との出会いは、前回もお話しした通り、落ちこぼれとしてスタートした私の産婦人科医としてのキャリアの中で訪れました。まだ注目されていなかった腹腔鏡下手術に…
ドーハから30年——チーム日本の成熟を感じた日
私自身、サッカーについては全くのド素人です。北野副院長はもともとサッカー部で、ご子息もサッカーをされており、とても詳しい。また、当院の事務長もサッカー経験者です。そんな環境の中で、このテーマをブログにするのは、正直なところ少し気が引けます。しかし、テレビ中継を見ていて、私が大学生だった頃の、いわゆる「ドーハの悲劇」の時代と、今の日本代表の雰囲気がまるで違うことに驚かされました。解説の本田圭佑さんが…
~特別編~ 第1章:プロローグ、落ちこぼれの出発点
私がそれなりに恵まれた環境にいたことは事実として受け止めています。しかし、他の先生方の目には、私は「逆境をくぐり抜けてきた人間」と映っているようです。確かに大学時代、大学内での評価と大学外での評価には大きな乖離がありました。そのため、外から私を見ていた方々には、「なぜ彼があのような扱いを受けているのか」と不思議に思われていたようです。ただ、私自身の感覚としては、外部からの評価が過剰だっただけではな…
