~特別編~第16章:日常と非日常──プロジェクト継続の葛藤

そんな出来事があったにもかかわらず、前述のように理事長から当直を外す指示が出ていたとはいえ、人手が足りていない大学病院では、やはり当直業務をこなさなければなりませんでした。私も例外ではありません。特に周産期センターである順天堂浦安病院では、毎日のように産科救急への対応が必要でした。私は、心房細動のあとも、それまでと変わらず日常業務を続けなければなりませんでした。ただ、循環器内科の先生方には非常に手…

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特別編院長
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8月15日を迎えて──自己犠牲で支えられた国の構造と、皆保険制度の現在地について

今年も8月15日を迎えました。終戦記念日は、毎年静かに私たちの前に現れ、なぜ日本はあの戦争を止められなかったのかという問いを投げかけます。日本が敗戦に至るまで戦争を止められなかった理由は、単なる軍部の暴走ではなく、人類が持つ結論の先送りやグループシンク(集団浅慮)といった深い構造が背景にあり、そこに日本特有の自己犠牲の美学が重なりました。特攻隊に象徴されるように、個人が壊れても組織を守ろうとする価…

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~特別編~第15章:不整脈──死を意識した瞬間

心臓は人体の中でも重要な臓器のひとつで、一生で約20億回拍動すると言われています。その拍動が止まるということは、すなわち“死”を意味します。血液を循環させるために休むことなく動き続ける心臓ですが、身体の状態に応じて心拍出量を調整するシステムが働いています。これは主にホルモンによって制御されますが、ストレスなどでホルモンが変動すると、心臓には大きな負担がかかります。 当時の私は、自分ではストレスを感…

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~特別編~第14章:台風の目──技術開発と嫉妬の渦

その後、私はさらに注目を集めることになり、マスコミの取材や講演会への招待、学会発表など、再び忙しい日々が始まりました。卵子凍結のプロジェクトだけでなく、腹腔鏡下手術の機器開発も並行して進めていたため、多くの企業からアプローチを受けるようになりました。その中から、いくつかをご紹介したいと思います。 ■ in-bag morcellation腹腔鏡では、検体を細い創から回収するために組織を砕く必要があ…

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みいちゃんと山田さんの件

「みいちゃんと山田さん」という漫画がアニメ化されるにあたり、SNS上で激しい議論が起きています。作品は、福祉に辿り着けない、あるいは辿り着こうとしない“分かりづらい障害”を抱えた方の悲劇を描いたフィクションであり、「障害者差別を助長する」という批判と、「このような現実を知るべきだ」という擁護が鋭く対立しています。フィクションである以上、受け取り方には幅がありますが、作品が扱っている領域は、医療や福…

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~特別編~第13章:大波乱──学会との対立と“時の人”へ

市議会の予算委員会は2月に開かれ、それまでに寄付講座の詳細が決定されました。基本的には市長の鶴の一声ではありましたが、市議会も無事に通過し、寄付講座の設立が正式に決定しました。しかし、このプロジェクトはあまりにも特異であったため、プレスリリースに反応したマスコミからの取材依頼が殺到しました。そこで大学と市は、共同で記者会見を開くことになりました。 一方で、学会側にも動きがありました。2013年、米…

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~特別編~第12章:卵子凍結プロジェクト──社会性不妊治療講座の誕生

市長の疑問は、極めてまっとうなものでした。「市内の若いAYA世代の女性で、卵子凍結の対象となる人は年間どれくらいいるのか?」という問いです。 当時、対象となり得る市内在住の若年女性は約1万人。その中で卵子凍結を必要とする人が少ないのであれば、市税を投入するプロジェクトとして説得力に欠ける──市長の懸念は当然でした。そこで私は提案しました。「加齢による妊孕性低下に備えるため、理由を問わず希望者に卵子…

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娘の誕生日

先日、娘の誕生日を迎えました。今ではバレエ団に所属し、舞台の上で光を纏うように踊る彼女ですが、その誕生は決して平穏なものではありませんでした。 出生直後、重篤な感染症を発症し、NICUへ搬送されました。当時の医療水準でも死亡率が八割とされるほど深刻な状態で、病棟でも最重症例として扱われていました。医局では「忌引きを何日与えるべきか」という話まで出ていたと後から聞きました。私は産婦人科医として多くの…

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~特別編~第11章:熱い市長──政策と情熱の邂逅

浦安市は、巨大テーマパークを抱え、都内で働く人々のベッドタウンとして発展してきました。特に“新町”と呼ばれる埋め立て地の新浦安エリアは、ヤシの木が立ち並び、高級マンションが林立する高級住宅街です。そのため高額納税者も多く、浦安市の財政は非常に健全でした。 3.11の際には液状化など甚大な被害が出ましたが、潤沢な財政のおかげで特別交付税を受けることなく、市内の財源のみで復興できたと伺いました。 担当…

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~特別編~第10章:浦安への異動──“生きた証”を残す決意

2年という短い期間ではありましたが、順天堂江東高齢者医療センターでの仕事は非常に充実していました。そして、さらなる飛躍として、私は順天堂浦安病院へ赴任することになりました。前述のように、当時の私はやや厭世的になっており、「生きていた証として、何かを残したい」 という思いが強くなっていました。たとえ大学を辞したとしても、その後に胸を張れる実績を残したい──そんな気持ちが芽生えていたのです。 順天堂浦…

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