ブログページの改定について
当院の院長ブログでは、月曜と金曜に「特別編」として回顧録を掲載し、毎週水曜には、私自身の思いや考えを綴ったエッセイを更新しています。 さて、この月曜・金曜の特別編は続き物であり、本来であれば「まとめて読み進めたい」という方がより見やすい構造になっている方が望ましいと考えておりました。そのような中、当院の優秀な事務長がホームページを改修し、“特別編”というタグを押すだけで、回顧録だけを抽出して表示で…
- カテゴリー
- 院長
~特別編~ 第17章:市長選と県知事選──政治の冷徹さ
私は政治家ではありませんので、選挙についての詳細はここでは触れません。ただ、結果として、県知事選に出馬した松崎元市長は敗れ、市長選では松崎氏の対立候補が当選しました。松崎氏が擁立した候補は、卵子凍結を応援してくださった元市議会議員であり、申し訳ない気持ちもありましたが、私にはどうすることもできませんでした。選挙において、新たな市長が誕生するということは、これまでとは異なる政治姿勢を示すことが多いも…
採卵から卒業までの最短フロー:検査から治療の進め方
今年の6月に当院の公式LINEより、「当院の通院環境に関するアンケート」を行いました。 当院へ通院中の皆様、ご卒業された皆様、アンケートへの回答ありがとうございます。 アンケートの中でも「採卵から移植までの流れを早くに知りたかった」というお声を多くいただきました。 そこで今回は、採卵から移植までの流れについて詳しくご紹介したいと思います。 採卵から胚移植までの最短スケジュール まずは、全体の流れを…
- カテゴリー
- 培養室
~特別編~第16章:日常と非日常──プロジェクト継続の葛藤
そんな出来事があったにもかかわらず、前述のように理事長から当直を外す指示が出ていたとはいえ、人手が足りていない大学病院では、やはり当直業務をこなさなければなりませんでした。私も例外ではありません。特に周産期センターである順天堂浦安病院では、毎日のように産科救急への対応が必要でした。私は、心房細動のあとも、それまでと変わらず日常業務を続けなければなりませんでした。ただ、循環器内科の先生方には非常に手…
8月15日を迎えて──自己犠牲で支えられた国の構造と、皆保険制度の現在地について
今年も8月15日を迎えました。終戦記念日は、毎年静かに私たちの前に現れ、なぜ日本はあの戦争を止められなかったのかという問いを投げかけます。日本が敗戦に至るまで戦争を止められなかった理由は、単なる軍部の暴走ではなく、人類が持つ結論の先送りやグループシンク(集団浅慮)といった深い構造が背景にあり、そこに日本特有の自己犠牲の美学が重なりました。特攻隊に象徴されるように、個人が壊れても組織を守ろうとする価…
- カテゴリー
- 院長
~特別編~第15章:不整脈──死を意識した瞬間
心臓は人体の中でも重要な臓器のひとつで、一生で約20億回拍動すると言われています。その拍動が止まるということは、すなわち“死”を意味します。血液を循環させるために休むことなく動き続ける心臓ですが、身体の状態に応じて心拍出量を調整するシステムが働いています。これは主にホルモンによって制御されますが、ストレスなどでホルモンが変動すると、心臓には大きな負担がかかります。 当時の私は、自分ではストレスを感…
~特別編~第14章:台風の目──技術開発と嫉妬の渦
その後、私はさらに注目を集めることになり、マスコミの取材や講演会への招待、学会発表など、再び忙しい日々が始まりました。卵子凍結のプロジェクトだけでなく、腹腔鏡下手術の機器開発も並行して進めていたため、多くの企業からアプローチを受けるようになりました。その中から、いくつかをご紹介したいと思います。 ■ in-bag morcellation腹腔鏡では、検体を細い創から回収するために組織を砕く必要があ…
みいちゃんと山田さんの件
「みいちゃんと山田さん」という漫画がアニメ化されるにあたり、SNS上で激しい議論が起きています。作品は、福祉に辿り着けない、あるいは辿り着こうとしない“分かりづらい障害”を抱えた方の悲劇を描いたフィクションであり、「障害者差別を助長する」という批判と、「このような現実を知るべきだ」という擁護が鋭く対立しています。フィクションである以上、受け取り方には幅がありますが、作品が扱っている領域は、医療や福…
- カテゴリー
- 院長
~特別編~第13章:大波乱──学会との対立と“時の人”へ
市議会の予算委員会は2月に開かれ、それまでに寄付講座の詳細が決定されました。基本的には市長の鶴の一声ではありましたが、市議会も無事に通過し、寄付講座の設立が正式に決定しました。しかし、このプロジェクトはあまりにも特異であったため、プレスリリースに反応したマスコミからの取材依頼が殺到しました。そこで大学と市は、共同で記者会見を開くことになりました。 一方で、学会側にも動きがありました。2013年、米…
~特別編~第12章:卵子凍結プロジェクト──社会性不妊治療講座の誕生
市長の疑問は、極めてまっとうなものでした。「市内の若いAYA世代の女性で、卵子凍結の対象となる人は年間どれくらいいるのか?」という問いです。 当時、対象となり得る市内在住の若年女性は約1万人。その中で卵子凍結を必要とする人が少ないのであれば、市税を投入するプロジェクトとして説得力に欠ける──市長の懸念は当然でした。そこで私は提案しました。「加齢による妊孕性低下に備えるため、理由を問わず希望者に卵子…
