不妊カウンセリング学会

先日、日本不妊カウンセリング学会の不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座での講演の機会をいただきました。この学会は、「広く一般市民を対象に妊娠・出産や不妊に関する適切な情報提供活動を行い、また特に不妊で悩んでいる人々に対して、カップルが最適の不妊治療を選択することができるよう不妊カウンセリング・ケアの発展と普及を図ると共に、不妊カウンセリング・ケアに係わるさまざまな研究や実践を通して、…

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【基礎内容】ART概論について

ARTとは ART(Assisted Reproductive Technology)とは配偶子である精子・卵子を取り扱い、生殖を補助する不妊治療のことです。「高度生殖補助医療」ともいいます。 適応 その他、患者様の年齢、不妊期間、卵巣の予備能を考慮いたしまして適応があれば対象となります。 受精方法の選択 受精方法は、取り出した卵子と精子を合わせて体外で受精させる「体外受精(IVF)」 顕微鏡下で…

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閉ざされた社会と分断

気になるニュースがありました。ご存知の方も多いかもしれませんが、神戸の小学校で起きた、教師同士によるいじめの事件です。この件、私は“いじめ”というよりも犯罪の様にも感じておりますが、詳細は今後明らかになっていくでしょう、というよりも再発防止のためにもどうしてこのような事件が起こったのかを明らかにしていただきたいと考えております。自分が小学生の頃、先生は絶対的な存在だったように記憶しています。特に低…

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体外受精(基礎編)

今回は不妊治療においても現在最も高度なものになる、体外受精についてのお話ですが、長くなってしまうと思いますので、まずは基本的な内容として「基礎編」としてお話させていただきます。 体外受精とは文字通り、通常女性の体の中で起こる受精現象を体外に取り出して行う治療です。世界初の体外受精はイギリスで卵管に問題のある患者さんに対して行われており、1978年に女児が誕生しております。元々は家畜などの哺乳類で行…

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人工授精

今回は人工授精についてお話させていただきます。人工授精の“授精”の“授”には手偏がついておりますが、文字通り、人工的に“精子を授ける”方法です。AIH(Artificial Insemination of Husband )と言われることもありますが、この場合は夫の精子を人工的に注入する方法を意味します。それに対してドナー精子を用いる方法は、AID(Artificial Insemination …

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【設備技術紹介】卵子活性化のお話

 今回はカルシウムイオノフォア(卵子活性化)についてお話します。  まずカルシウムと言えば、骨や歯のイメージが高いかと思います。実際にカルシウムの約99%は骨や歯、残りの約1%は神経伝達や筋肉で使われており、その量は体重の1~2%と生体内で最も多いミネラルなのです。このカルシウムが受精時の卵子を活性化する因子としても必要不可欠な因子となります。  ではカルシウムイオノフォアとは何なのか。 それは細…

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タイミング療法

タイミング療法(タイミング指導)とは、妊娠しやすい時期を医学的に確認、性交のタイミングをご教示する方法です。月経周期が順調な方であれば、月に1回排卵が起こりますので、そのタイミングに合わせて性交渉を持ては妊娠の可能性が高くなります。ただ、海外のガイドラインなどでは不妊治療としては捉えられていないようです。妊娠を試みてうまくいかないからこそクリニックなどを受診しているわけですから、それなりのタイミン…

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【基礎内容】精子凍結・融解について

今回は、『精子凍結・融解』について説明します。 精子凍結とは TESE(精巣内精子採取術)や射精して採れた生きた精子を保存液で処理し、-196℃の超低温(液体窒素)で保存する技術です。 安全面について 凍結融解精子を用いて生まれたお子様は、新鮮精子を用いて生まれたお子様と比べて、発育状態に差が出たり、先天奇形などの異常の頻度が高くなるという報告はありません。 1952年にイギリスのC.Polgeら…

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縫合・結紮手技

縫合・結紮とは、縫い合わせ、糸を結ぶことを指しますが、重要な手術手技のひとつとなっております。まさにお裁縫のようですが、手術用の糸で血管を縛り止血したり、切開した部位を縫い合わせたりする技術です。医学生の試験にもこの手技が入っておりますが、学生の間はその手技がどのようなもので何が大切か、が最低限わかっていれば良いため、細かな技術までは問われません。よって、国家試験合格後、医師として外科系の科を目指…

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手術の適応

我々が良く使う専門用語で「適応」という単語がありますが、一般の方々には耳慣れないかもしれません。通常はその状況に合っていること、を示すのですが、医学用語としては、例えば手術などの治療の際、治療に伴う副作用や合併症などのリスクに見合った効果が得られると考えられる場合に「適応」がある、と表現します。リスクが大きすぎる治療法のみならず、どのような治療法にも少なからず副作用はありますから、不必要な治療、す…

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