無精子症・精巣内精子採取術(TESE)について

今回は無精子症・精巣内精子採取術(TESE)についてお話させていただきます。

無精子症とは...?

普通に射精は可能であるにも関わらず、精液中に精子を認めない状態です。

100人に1人の男性は無精子症であると言われており、男性不妊の10人に1人は無精子症である可能性があることが分かっています。           

次に無精子症の種類についてです。無精子症は閉塞性無精子症(OA)および非閉塞性無精子症(NOA)に分類されます。

閉塞性無精子症(OA)                     

精巣で精子は正常に作られているものの精子の通り道が欠損もしくは閉塞しているために精子が出てこない状態です。

精管、精巣上体管、射精管、精巣輸出管などの精路通過障害があります。

非閉塞性無精子症(NOA)

精子の通り道は正常ですが精巣での精子形成が低下しているために精子が出てこない状態です。

無精子症の原因(非閉塞性無精子症の場合)としては、

🔸クラインフェルター症候群

🔸Y染色体微小欠失(AZF欠失)

🔸抗がん化学療法後や停留精巣固定術後

🔸原因不明などで造精機能が著しく低下している場合 などがあり、精子回収率及びその後の治療成績はそれらの無精子症の原因によって大きく異なります。           

無精子症患者に対して行われる最新治療が 精巣内精子採取術(TESE) になります。

 精巣内精子採取術とは...?

精巣を切開して精巣組織の一部から精子を採取する手技です。

conventional TESE と 顕微鏡下精巣内精子回収法(micro-TESE)の2種類があります。

🌟conventional TESE と micro-TESEについて         

閉塞性無精子症患者や射精障害患者のように、高い確率で精子回収が予想される場合に適応となります。

手術用顕微鏡を用いて白く太く屈曲している精細管組織を狙って採取する方法であり、主に非閉塞性無精子症患者が適応となります。

また、なるべく精子回収の見込みのない患者に対する不要な手術を回避するために非閉塞性無精子症患者に対して、micro-TESEを行う前に染色体検査と精子形成遺伝子群であるazoospermic factor(AZF)の微小失検査をお勧めします。

検査結果としては以下のようになります。

染色体検査

46.XX(XX男性)などでは精子形成はないため、手術適応ではない😿

azoospermic factor(AZF)の微小欠失検査

AZF微小欠失と精巣精子回収率に関しては、AZFc欠失以外では精子は望めない

検査結果に問題がなかったら、手術を行います。精子の有無を調べ精子が存在した場合はこれを顕微授精(ICSI)に用います。採卵とTESE実施日を合わせられる場合には、新鮮精巣精子でICSIを行い、残りは凍結保存します。しかし、実際にはパートナーの仕事の都合などで新鮮精巣精子を用いることが困難な場合も多く、TESEを採卵に先行して行い、凍結保存精子でICSIを行うケースが多くなっております。

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今回は無精子症・精巣内精子採取術についてお話させていただきましたが難しい内容が多かったと思います。

当院では 男性不妊外来 も開始しました。

気になることがあれば前向きに来院をお考え下さい。自分には原因がない!!など思わずにまずは精液検査からでも行ってみるとよいと思います。早く原因が分かると妊娠に繋がる可能性も増えてくるはずです!🎶🎶