新年のエール
私は大学時代から、腹腔鏡下手術や不妊治療、生殖医療に携わってきました。これまで多くの患者さんと向き合ってきた経験が、今の私を形づくっています。その経験を次の患者さんへ還元したいという思いから、今も変わらずこの仕事を続けています。
しかし、妊孕性が年齢によって大きく影響を受けることは、残念ながら否定できない事実です。大学時代、ある患者さんからいただいた言葉が今も胸に残っています。
「今まで何も悪いこともせず頑張ってきただけなのに、早く妊娠したほうがいいなんて誰も教えてくれなかった。」
現在はインターネットなどで情報が得やすくなったとはいえ、この事実を声高に伝えることにためらいを感じる場面もあります。高年齢で不妊治療に取り組む方々への配慮を求める声も理解できますが、これから妊娠を考える方々にとっては極めて重要な情報でもあります。
日本では、性教育がいまだ十分に整備されているとは言えません。私が子どもの頃は人口爆発が懸念されていた時代で、「子どもは放っておいても生まれてくる」という感覚が社会にあったのかもしれません。しかし、少しひねくれた小学生だった私は、「産まない選択をすれば人口は減る。いつか子どもがいなくなるのではないか」と感じていた記憶があります。結果として、今の少子化につながっています。これは日本に限らず、多くの先進国が直面している現実です。
浦安市と共同で、世界で初めて行政補助による卵子凍結プロジェクトを行った際には、多くの批判も受けました。当時の市長や市の皆さまにはご迷惑をおかけした部分もあります。また、ある政治家から「女はつべこべ言わずに産めばいい」と言われたことは、今も心に深い傷として残っています。現在では卵子凍結を支援する自治体も増えてきましたが、それでも「子どもを産む」という選択に対して、社会が必ずしも優しいとは言えないのが現実です。
そのような中で、子どもを産むという選択をされた方々、不妊治療に取り組む方々、将来の妊娠に備えて卵子凍結を行う方々は、結果として少子化対策にも貢献している、とても素晴らしい存在だと思っています。だからこそ、私はそのような方々に心からエールを送りたい。そして当院としても、皆さまの力になれるよう最大限努力していきたいと考えています。
ともに歩んでいきましょう。


