学会発表報告:第43回日本受精着床学会総会・学術大会
先日名古屋にて開催されました第43回日本受精着床学会総会・学術大会にて、当院から培養士2名が参加し学会発表をして参りました。
以下は胚培養士の発表内容です。
ポスター発表:凍結融解胚移植周期におけるアプリケーターの有無による臨床成績の比較検討

凍結胚移植で使用するプロゲステロン膣座薬には、指で挿入するタイプと専用のアプリケーターを用いるタイプがあります。
当院では2023年に移植を行った患者さんのデータをもとに、アプリケーターの使用が妊娠成績に与える影響について調査しました。
自然排卵がある自然周期では、アプリケーターの使用の有無による妊娠成績の差は認められませんでした。一方で、ホルモン補充により子宮内膜を整えるホルモン補充周期(HRT周期)においては、アプリケーターを使用したグループの方が着床率、妊娠率、出産率のいずれも有意に高い結果が得られました。
これらの結果から、HRT周期においてはアプリケーターの使用が妊娠成績の向上に寄与する選択肢の一つになると考えられます。
口頭発表:桑実胚のCompaction形態による胚選別の可能性~細胞間接着と妊娠成績の比較検討~
今回の研究では、桑実胚期における細胞間接着の強さに注目し、接着が強い群と弱い群に分類して移植成績および周産期結果を比較しました。
周産期の評価項目(在胎週数・出生時体重・性別)については両群間に有意差は認められず、細胞間接着の強度が周産期転帰に大きな影響を及ぼさないことが明らかとなりました。
一方、移植後の成績では、接着が強い群において着床率・妊娠率・出生率が有意に高く、さらに流産率は有意に低い結果が得られました。
これらの結果から、桑実胚期における細胞間接着の強度は、移植成績を予測する上で有用な形態学的指標となり得ることが示唆されました。
学会を通じて、全国の研究者や臨床現場で活躍する胚培養士の方々と活発に意見交換できたことは大きな刺激となりました。最新の知見や多様な視点に触れることで、自身の研究の方向性を再確認すると同時に、日常業務への還元の可能性も実感しました。今後も引き続き、胚選別の質を高める研究に取り組んでまいります。

学会を通じて、全国の研究者や臨床現場で活躍する胚培養士の方々と活発に意見交換できたことは大きな刺激となりました。最新の知見や多様な視点に触れることで、自身の研究の方向性を再確認すると同時に、日常業務への還元の可能性も実感しました。今後も引き続き、胚選別の質を高める研究に取り組んでまいります。
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