サクセスフルエイジング~不妊カウンセリング学会を終えて感じたこと

前回のブログでは、不妊カウンセリング学会の大会長を務めた経験についてお話ししました。その締めくくりとして、「多視点からのプレコンセプションケア」というテーマのもと、6名の演者の方々をお招きし、シンポジウムを開催しました。
そこで私の心に深く刻まれたキーワードが 「サクセスフルエイジング」 でした。今回は、その言葉が持つ意味について、さらに掘り下げてお話ししたいと思います。

人生を振り返ったときに「まぁまぁよかった」と思えることの大切さ
健康心理士の割田先生は、横浜市で介護予防・支援サービス施設を開設され、地域のコミュニティサロンで0歳から90代までの方々を支援されています。その活動の中で、70代を過ぎた方の中にも、過去に不妊治療を経験された方がいるそうです。
人生の後半に差しかかると、伴侶を失うことも少なくありません。治療の結果として望んだ形にならなかった場合、亡くなった相手への複雑な感情が心に残ることもあるとのこと。「サクセスフルエイジング」とは、まさに 「幸せな老後」 を指すのかもしれません。そして、その幸せとは、人生を振り返ったときに 「いろいろあったけれど、まぁまぁよかったかな」 と思えるかどうかにかかっているのではないでしょうか。 不妊治療においても、子どもを授かるかどうかという結果以上に 「自分が納得できる選択をしたか」 ということが、将来の人生の充実度に影響すると言います。治療に向き合う姿勢が、その後の人生の満足感へとつながるのです。そのためにも、夫婦で妊娠・出産だけでなく、人生全体についてじっくり話し合うことが大切なのでしょう。

サクセスフルエイジングは人生全てにつながる
シンポジウムを通じて、「プレコンセプションケア」というテーマの枠を超え、 人生そのものに通じる大切な気づき をいただきました。私自身、これまでの人生を振り返ると、様々な選択の連続だったと感じます。しかし、他者に言われるがままではなく 「自分で選んだこと」 のほうが、より満足感が高かったように思います。
大学を辞し、今の職場にいることも 「縁」 ではありますが、私が自ら選択したからこそ 充実した日々を送れている のだと実感しています。そして今回の学会で会長としてシンポジウムを企画し、素晴らしい時間を作れたことに、心から感動しました。

自分の人生を、自分で選ぶということ
今回のブログを通じて、学会に参加されなかった方々にも 「サクセスフルエイジング」 という考えを知っていただけたらと思います。人生は、ただ流されるものではなく 「自分事」として選択する ことが大切です。その積み重ねが、未来の充実した人生へとつながるのではないでしょうか。