【お知らせ】第21回 横浜ART研究会

 第21回 横浜ART研究会に当院培養士スタッフにて参加させていただきました。 基礎的な内容や、日々の臨床業務と照らし合わせられる内容まで幅広く有意義な時間となりました。話の中で興味深かったものは「卵巣刺激(体外受精)の有用性と疫学的理解」といったものです。

 

 生殖補助医療の治療戦略の一つとして卵巣刺激というものがあります。卵巣刺激の目的は“お薬の力を借りて複数の卵子を獲得する”となっています。日本での体外受精の8割近くは刺激周期との事で、その有用性は十分な実績と説得力があると示唆されています

 不妊治療を受けるうえで、患者さんにとっては 「 ①納得して治療を受ける ②負担(採卵回数)を少なく、早く妊娠する 」 以上の二つが好ましいと言えます。今回の研究会でも②に対して刺激法を用いる事が如何に有利か、沢山のお話がありました。

 発表の中でもご指摘がありましたが、適切な卵巣刺激を行う事で、妊娠までの採卵回数は約1/3程度となるそうです。下図は学会がデータブックとして提出しているものですが(数年前のデータですが比率は大きく変わっていないと考えられます)、その有用性は国内不妊施設での実績が裏付けている事を示しております。

 病院によって様々なスタンスで採卵を行っており、それらを否定するものではありませんが、大切なのは必要のない副作用やリスクを患者が受けることなく出産までの結果に早く結びつける事だと思います。

 当院では患者様の卵巣機能と希望に合わせ、個別に刺激法を提案致します。さらに当院では、同一周期内採卵(Duostim)と呼ばれる”卵巣予備能が低下されている患者様に対して、限られた治療回数にて効率よく卵子を採取する方法”を行う事ができます。詳しくは診察にて医師の方へご相談ください。

  

  また、研究会の中では日本の不妊事情と体外受精の理解についても議論されました。体外受精によって出産されるお子さんの割合は増加傾向にありますが、日本では体外受精の施行数が人口比で考えるとアメリカの3.4倍になっているそうです。一方で、日本の妊孕性に対する理解についてはトルコの次に低いというご指摘がありました。(トルコと言えば、ケバブや伸びーるアイスなんかが浮かびましたが…宗教的な背景や文化が関係しているのでしょうか?)日本でも少子化対策としてこの理解度を2020年までに大きく引き上げるという事が検討されているようです。

 

 当院の院長は婦人科/生殖専門医として大学病院で沢山の患者様の声を聴いてまいりました。HPの院長からのメッセージにもありますように、“性”という事に対し少しでもご不安がある方がいらっしゃいましたら是非一度お話をしていただければと思います。

 不妊に悩んでいるけど病院にいくのはちょっと…と思われる方の、一歩進まれるきっかけになればと思い、研究会の報告とさせていただきます。