【学会参加レポート】AIが卵子の“成熟度”を見極められるか
時間があいてしまいましたが、2026年1月に開催された日本臨床エンブリオロジスト学会の参加レポートになります。
シンポジウムのテーマに「AIの導入がラボ業務にどのような変化をもたらすのか?」というものがありました。
受精卵・胚盤胞を評価するAIは以前からありましたが、卵子凍結が広く認知され多くの女性が行うようになったことからか、近年卵子の成熟度を評価するものが見られるようになったと思います。
妊孕性の期待値として卵子の成熟度を予測できれば、より計画的に妊娠を考えることが可能になり、将来的に不妊に悩む患者様を少なくすることができるかもしれません。
1月7日に開催された第31回日本臨床エンブリオロジスト学会学術大会に参加させていただきました。
日本臨床エンブリオロジスト学会とは
学会というと日本産婦人科学会や日本生殖医学会などありますがこの日本臨床エンブリオロジスト学会はエンブリオロジスト(胚培養士)によるエンブリオロジストのための学会として卵子・精子・胚を扱うための知識や実際の受精・培養・凍結・融解・移植の技術の向上を目指す活動が行われています。
今回の学会テーマは「つなげよう、未来のARTへ」
今回の学会テーマは「つなげよう、未来のARTへ」でした。よりよい生殖補助医療(ART)の知識と技術をもとめた発表内容でした。
では多くの発表の中で気になった内容をお話しします。
近年AIを用いた胚発育の評価が行われています。今回の学会でもAIの導入が培養室業務においてどのような変化をもたらすのかについて研究発表されていました。
ICSI(顕微授精)を行えるのは成熟した卵子のみ。成熟した卵子って?
卵子の形態評価・成熟度というのはこれまで培養士が顕微鏡にて採卵後の卵子に、第一極体があることを確認し顕微授精が可能な卵子を選別します。
当院では目視での形態評価以外にもICSIする直前に特殊なレンズで紡錘体(染色体を分裂させるための器官)というものを確認し核の成熟の再確認を行っています。
一目みただけでは完全に成熟しているかはわからない?
卵子に第一極体が見られた時点でほとんど成熟卵子ではあるのですが、一部では核は成熟しているが卵子の細胞質の成熟が少し遅れている場合があります。卵子の細胞質の成熟度を予測することはまだ難しいままです。
AIを使用することで成熟度を測れるのか
研究発表はResNet50という視覚データから学習できるAIを使用して1個1個の卵子の細胞質の画像から傾向を数値化し卵子の成熟度やICSI後の発生能を調べていました。
結果は受精するであろうという可能性を一定の精度で予測できることが示唆されたとの事でした。
まとめ
顕微授精を行うのによりよいタイミングを見分けられたらということに魅力を感じたためこの発表をご紹介させてもらいました。
私たちの日々行っていることに対してAIをどのように活用していくのかが、より良い妊娠出産に関係してくることがあるかもしれません。これからもAIを使用した培養に関する発表に注目していきたいと考えております。

