聖路加国際病院との共同プレスリリース

先日、聖路加国際病院とリプロダクションクリニック大阪と共同で、とても嬉しいプレスリリースを行うことができました。

聖路加国際病院女性総合診療部を中心とする医療チーム(聖路加国際病院、メディカルパークみなとみらい、リプロダクションクリニック大阪の共同)により、移植した卵巣組織から得られた卵子を用いた妊娠・出産が成功したというご報告です。

移植卵巣から得た卵子による妊娠・出産に成功 | 学校法人聖路加国際大学のプレスリリース

私自身も大学時代からがん生殖医療に取り組んでおり、卵巣凍結については大学の倫理委員会を通じて研究を進め、妊娠には至らなかったものの、卵巣機能回復(卵胞発育)を確認できたという報告を行った経験があります。

Successful Ovarian Vitrification and Back-Transplantation to Preserve Fertility in a Patient Requiring Chemotherapy for Malignant Lymphoma

また、がん生殖医療学会の立ち上げにも参加させていただき、そのご縁で現在当院も「認定がん・生殖医療施設」として対応させていただいております。今回のご報告は、その歩みの中でも特に感慨深いものです。

今回のプレスリリースは、以下の英文論文の出版に合わせて発表させていただきました。

First live births after non-fixation cryopreserved ovarian tissue transplantation in Japan - PubMed

実際には、当該患者さんはすでにご出産されており、2名のうち1名は当院での不妊治療を経て出産に至ったケースです。

本邦においては、がん生殖医療学会の立ち上げにも尽力された聖マリアンナ医科大学がこの領域のリーダーであり、2022年には3名の方の出産報告をされています。今回の我々の報告は、それに続く成果となります。

卵子凍結の場合、月経がある女性でなければ採卵は難しいのですが、卵巣凍結であれば初潮前の女児にも対応可能です。そのため、小児がんなどで治療を受ける患者さんにとって、今回の成果は非常に大きな朗報になると考えています。