不妊カウンセリング学会学術集会を終えて
5月18日(日)、東京・一ツ橋ホールにて「不妊カウンセリング学会学術集会」が開催されました。今年は学会長を務めることとなり、「未来を見据えるプレコンセプションケア」をテーマに掲げ、プレコンセプションケアに関連した内容を中心に議論を深めました。現地には669名の方々にご参加いただき、さらにオンデマンド配信も予定されています。また、多くのご協賛をいただき、ランチョンセミナーまで開催することができました。改めて、ご支援いただいた皆様に心より感謝申し上げます。至らぬ点も多々あったかと思いますが、大変貴重な経験をさせていただきました。
充実した講演と討論
午前中は一般講演、午後は会長講演、特別講演、シンポジウムと盛りだくさんのプログラムでした。
会長講演では、浦安市との「卵子凍結プロジェクト」についてお話ししました。医学的・社会的な卵子凍結が存在するならば、「社会的な不妊」もあるはず。子どもを望んでいるにもかかわらず社会的な要因によって諦めざるを得ない状況があるならば、社会に対するプレコンセプションケアが必要ではないか、という問題提起をさせていただきました。
特別講演では、小説家・藤ノ木優先生が「小説家の目線から見えてくる日本の医療の未来」と題して登壇されました。国民皆保険制度の課題、美容外科に進む研修医の「直美」問題など、幅広い視点から鋭い洞察を交えたお話に、多くの参加者が引き込まれました。
多角的視点でのシンポジウム
最後のシンポジウムでは、異なる職種の専門家6名にご登壇いただき、「多視点からのプレコンセプションケア」について議論しました。
女性特有の疾患(子宮筋腫・内膜症)、男性のプレコンセプションケア、学校における性教育の課題、生殖医療を巡る法的問題、漢方医学的アプローチ、心理学的アプローチです。こうした多様なテーマをそれぞれの専門の先生方が深掘りし、非常に実りある議論となりました。最後のディスカッションではユーモアを交えた活発な意見交換もあり、笑いが起こる場面も。プレコンセプションケアを推進する中で、女性に「産むことを求める圧力」になってしまうリスクがあることも改めて認識することができました。
心に残った「サクセスフルエイジング」
何より印象に残ったのは、心理士の先生が示されたキーワード「サクセスフルエイジング」。自分の人生を主体的に選び取ることの重要性を改めて感じた瞬間でした。これはまた別の機会に詳しくブログで書きたいと思います。座長として進行しながら、深い感動を覚えた学会となりました。
最後に、シンポジストの先生方のお写真も掲載したいと思います。

