【基礎内容】人工授精について
人工授精とは女性の子宮内に人工的に精子を注入して授精させる生殖医療技術のことです。「人工」という名前がついているので患者さんの中には、人工的なものは行いたくないと不安になられることがありますが、受精自体は患者さん本人の卵管で行われるのでほぼ自然妊娠と考える事ができます。
どのような方が対象になるか
一般的には精液所見不良(乏精子症、精子無力症、乏精液症など精子の数が少ないor精子が動いていない)や精子―頸管粘液不適合(精子が子宮に入るのが妨げられる)、内分泌学的治療抵抗性の頸管粘液減少症(頸管の粘液が少ない)、性交障害をもつカップルが対象となります。
その他、排卵障害、機能性不妊やタイミング指導を一定期間行っても妊娠に至らない方が対象になります。尚、精液所見不良というのはWHOの基準より数値が下回った精液のことです。
人工授精のながれは次の通りです。
3、に記載している精子の洗浄について補足します。
当院では濃縮洗浄配偶者間人工授精(w-AIH)としております。
密度勾配遠心法によって、成熟精子と未成熟精子&死滅精子を形や密度の違いによりより分け、成熟した精子だけをすくいます。同時に精液中の雑菌などを取り除く事もできます。
このように、培養士がお預かりした精液中の良質と考えられる精子を集め、受精し易いと考えられるタイミングで子宮の中へ送り届ける訳です。
回数の目安
人工授精での妊娠率は意外と低く6~9%ほどです。治療周期の回数は、人工授精で妊娠が成立した夫婦の約80%が3周期以内だったという統計や、6回から累積妊娠率が横ばいになることから5~6周期を目処に行ないます。その期間に妊娠が成立しなければピックアップ障害などの原因が疑われ、体外受精への治療切り替えを勧められるようになるのが一般的です。
費用について
人工授精の費用は、保険適用外となるので自己負担となります。1回あたり約2~3万円が一般的で、かかる病院により費用が異なる場合もあります。メディカルパーク横浜では、人工授精は一回15,000円(別途採血代がかかります)となります。