【お知らせ】ワークショップ参加
培養液メーカーのセミナーに当院培養士スタッフで参加しました。我々培養士にとって、メーカーより専門的な情報を頂く事ができる非常に貴重な時間となりました。
セミナーのキーワードは“グロースファクター”です。Growth=成長、Factor=因子という事で、特定の細胞を増やしたり成長させたりする働きを担う物質を示します。筋トレ後、筋肉痛になって「効いてるな…」という時にも一過性でグロースファクターが集まっているのかもしれません。
「グロースファクター 医療」でググってみると再生医療や美容整形のページが目につきます。即ちグロースファクターの性質を利用しアンチエイジングや創傷ケアに役立てようというコンセプトと考えられ、我々の身の回りにもありふれているものとなっています。
下図のように、女性の体の中では卵と母体がグロースファクターをはじめとする様々な物質を介してコミュニケーションを取っている事になっています(複雑すぎて全ては理解できませんが…)。ARTではこの複雑なコミュニケーションを培養液で再現する事が必要となり、メーカーが開発する種々の培養液を施設毎に選定し使用していく事になります。
セミナーの結論としては、「特定のグロースファクターを含有させた培養液は体外受精現場での臨床成績の向上が期待できる」という内容のもので、今後の研究が期待されるとの事でした。
院長の菊地は子宮内膜症や筋腫に対する内視鏡技術の専門医という事もあり、不妊に関する良性疾患をもたれる方からの問い合わせが増えています。
文献的にも子宮内膜症患者では、このグロースファクターのバランスが乱れている事が古くから指摘されているようです(Serum concentrations of growth factors in women with and without endometriosis: the action of anti-endometriosis medicines. International ImmunopharmacologyVolume 3, Issue 1, January 2003, Pages 81-89)。妊娠成立に向けて“原因を取り除くか、不足を補うか”という考え方になってくるのでしょうか。
当院では内膜症に対し外科的なアプローチの提案が可能ですが、培養士側としても情報にアンテナを張り続け、有用性が高い培養液を検討していきたいと考えます。