【基礎内容】培養液について②

昨年12/21に載せました「培養液について①」の続きです。

前回は実際に使用している培養液についてご紹介しました。

今回は培養液とセットで使用するミネラルオイルと移植用の培養液をご紹介します。

少量の培養液(ドロップ)は、外気に触れることで劣化を起こしてしまいます。
そこで登場するのがミネラルオイルです。 利点として培養液のpH変動を防止し、また培養液からの水分の蒸発を最小限に抑えること、配偶子や胚を高密度で培養できること、 培養液の使用量を少なくすること等があげられます。そのため、培養液をカバーすることで培養環境を安定することが出来ます。

更にオイルはその粘性により、light・middle・heavyにわかれています。  

胚を移植するときに使う培養液は、Embryo Glueです。

これはヒアルロン酸もしくはフィブリン糊といった粘土の高い成分を大量に配合した製品であり、良好胚で妊娠へ結びつかなかったケースにおいて、着床率が上がったという報告があります。このヒアルロン酸は、卵胞液・卵管分泌液・子宮腔内に自然に存在していて、糊のようにベタベタとひっつく性質があり、この性質が胚の子宮内膜への接着を促進させ着床を促すのではないかと考えられています。

1985年Quinnにより、ヒト卵管液の成分を基に培養液が開発されてから、現在市販されている培養液は、長い研究の歴史の末にできたものであり、今もなお、さらに良い培養液の開発が進められています。たとえば、酸化ストレスを軽減させる成分や、細胞の成長を促す因子を含んだ培養液などが開発されています。当院でも、市販されている複数の培養液の検討を行い、当院の培養環境に合う培養液を選び、患者様からお預かりした卵がより良く発育するよう、日々努めて参ります。