【設備技術紹介】卵子活性化のお話
今回はカルシウムイオノフォア(卵子活性化)についてお話します。 まずカルシウムと言えば、骨や歯のイメージが高いかと思います。実際にカルシウムの約99%は骨や歯、残りの約1%は神経伝達や筋肉で使われており、その量は体重の1~2%と生体内で最も多いミネラルなのです。このカルシウムが受精時の卵子を活性化する因子としても必要不可欠な因子となります。 ではカルシウムイオノフォアとは何なのか。 それは細…
【基礎内容】精子凍結・融解について
今回は、『精子凍結・融解』について説明します。 精子凍結とは TESE(精巣内精子採取術)や射精して採れた生きた精子を保存液で処理し、-196℃の超低温(液体窒素)で保存する技術です。 安全面について 凍結融解精子を用いて生まれたお子様は、新鮮精子を用いて生まれたお子様と比べて、発育状態に差が出たり、先天奇形などの異常の頻度が高くなるという報告はありません。 1952年にイギリスのC.Polgeら…
【お知らせ】第21回 横浜ART研究会
第21回 横浜ART研究会に当院培養士スタッフにて参加させていただきました。 基礎的な内容や、日々の臨床業務と照らし合わせられる内容まで幅広く有意義な時間となりました。話の中で興味深かったものは「卵巣刺激(体外受精)の有用性と疫学的理解」といったものです。 生殖補助医療の治療戦略の一つとして卵巣刺激というものがあります。卵巣刺激の目的は“お薬の力を借りて複数の卵子を獲得する”となっています…
【基礎内容】精液検査について
精液検査とは、1回の射精で得られる精液の量と、精液内の精子の状態を調べる検査です。 方法 自宅で採取して持って来る「検体持参の方法」と、「クリニック内で採取する方法」とが選べます。 基準値は以下の表の通りです↓ 注意事項 当院では、精子量・精子濃度・運動精子率(動いている精子の割合)・正常形態精子率(正常な形の精子の割合)を測っています。 精液所見の下限基準値 男性不妊の分類 精液量 1.5mL …
社会性不妊と卵子凍結
「社会性不妊」という言葉があります。私自身はあまり好きな言葉ではないのですが、病気が原因となる「医原性不妊」に対する言葉として使用されます。すなわち、社会的な制約で産みたくても産めない状況を指し、保育所問題や、キャリアアップのためなどによる妊娠・出産時期の先送りがその一例です。 妊娠・出産は非常に個人的なことでもありますが、同時に個人の置かれている政治的・社会的環境によって左右されてしまいます。妊…