【お知らせ】第21回 横浜ART研究会

 第21回 横浜ART研究会に当院培養士スタッフにて参加させていただきました。 基礎的な内容や、日々の臨床業務と照らし合わせられる内容まで幅広く有意義な時間となりました。話の中で興味深かったものは「卵巣刺激(体外受精)の有用性と疫学的理解」といったものです。    生殖補助医療の治療戦略の一つとして卵巣刺激というものがあります。卵巣刺激の目的は“お薬の力を借りて複数の卵子を獲得する”となっています…

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夏休み明けの自殺

私のブログ、おそらく小中高生でお読みになっている方々はほぼ皆無かもしれませんが、どうしても気になるニュースがありましたので、記しておきたいと思います。もしかしたら、まさにそのような状況に置かれた方々のひとりにでも届けばよいなぁ、と考えます。 気になるニュースとは、夏休み明けの自殺が多いというものです。いじめがすべての原因ではないかもしれませんが、休みが明けて登校する際に、またあの地獄に戻るくらいな…

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【基礎内容】精液検査について

精液検査とは、1回の射精で得られる精液の量と、精液内の精子の状態を調べる検査です。 方法 自宅で採取して持って来る「検体持参の方法」と、「クリニック内で採取する方法」とが選べます。 基準値は以下の表の通りです↓ 注意事項 当院では、精子量・精子濃度・運動精子率(動いている精子の割合)・正常形態精子率(正常な形の精子の割合)を測っています。 精液所見の下限基準値 男性不妊の分類 精液量 1.5mL …

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社会性不妊と卵子凍結

「社会性不妊」という言葉があります。私自身はあまり好きな言葉ではないのですが、病気が原因となる「医原性不妊」に対する言葉として使用されます。すなわち、社会的な制約で産みたくても産めない状況を指し、保育所問題や、キャリアアップのためなどによる妊娠・出産時期の先送りがその一例です。 妊娠・出産は非常に個人的なことでもありますが、同時に個人の置かれている政治的・社会的環境によって左右されてしまいます。妊…

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【設備技術紹介】培養室内環境のお話

今回は培養室についてお話します。写真は当院の培養室です。 培養室はクリーンルームとして設定されており、胚の培養を行う場所であるため常に清潔に保たれています。 清潔に保てる理由としては、まずHEPAフィルター(high efficiency particulate air filter)と呼ばれるフィルターを搭載しているところにあります。 HEPAフィルターは、『定格風量で粒形が0.3μmの粒子に対…

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中学生からのインタビュー(仕事について)

先日、将来なりたい職業について調べようという、とある中学校の課題のお手伝いをさせていただくご縁がありました。具体的には、6名の女子中学生が当院に来院、私がインタビューを受ける、というものです。彼女たちが自分たちの将来についてどのように考え、また、医師についてどのようなイメージを持っているのか、私としても大変興味がありました。 彼女たちはいろいろと下調べしてからいらっしゃっており、「医師になって辛か…

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【お知らせ】ワークショップ参加

 培養液メーカーのセミナーに当院培養士スタッフで参加しました。我々培養士にとって、メーカーより専門的な情報を頂く事ができる非常に貴重な時間となりました。  セミナーのキーワードは“グロースファクター”です。Growth=成長、Factor=因子という事で、特定の細胞を増やしたり成長させたりする働きを担う物質を示します。筋トレ後、筋肉痛になって「効いてるな…」という時にも一過性でグロースファクターが…

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がん生殖医療と卵子凍結 1

白血病やがんなどに用いられる化学療法や放射線治療は、生殖腺(卵巣・精巣)にダメージを与えてしまうことがあります。治療法の種類にもよりますが、そのダメージが不可逆な場合には、不妊に繋がってしまいます。よって、めでたく治療が終了し治癒、または緩解したとしても、妊娠が出来なくなってしまうことがあるのです。一昔前でしたら、がんが治って命が助かったのであれば、妊娠は贅沢だ、などと言われたこともあるようです。…

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【基礎内容】人工授精について

人工授精とは女性の子宮内に人工的に精子を注入して授精させる生殖医療技術のことです。「人工」という名前がついているので患者さんの中には、人工的なものは行いたくないと不安になられることがありますが、受精自体は患者さん本人の卵管で行われるのでほぼ自然妊娠と考える事ができます。 どのような方が対象になるか 一般的には精液所見不良(乏精子症、精子無力症、乏精液症など精子の数が少ないor精子が動いていない)や…

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学会ガイドライン

先日、日本産科婦人科内視鏡学会のガイドラインが届きました。作成に委員として協力いたしましたので、学会からお送りいただいたようです。 ガイドラインの作成ですが、それは大変な作業です。今回委員を務めさせていただいた内視鏡のガイドラインは、5年前に用いられたMINDSというシステムから、GRADEという比較的新しいシステムに変更されて作成されました。MINDSシステムでは、論文のエビデンスレベルに基づき…

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