楽曲の嗜好と年齢NEW

少し前に発表された調査によると、「10代で聴いていた音楽は、その後の人生にわたって嗜好に影響を与える」「新しい音楽との出会いは24歳前後でピークを迎える」といった、音楽と年齢に関する興味深い傾向が示されていました。私自身、この傾向にかなり当てはまっているようで、家族や友人からは「いつも同じ曲ばかり聴いているね」と言われることがあります。実際、小学生の頃からずっと聴き続けている曲があり、今回はそのこ…

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卵子の質と社会制度──技術が選ぶ「未来の遺伝子」、制度が支える命の可能性

はじめに「卵子の質」とは、生命を育む力──すなわち「生物学的有能性(competence)」を指します。2010年に発表されたMartinらの論文は、卵子提供者の中に「best-prognosis donor(予後良好ドナー)」と呼ばれる、繰り返し高い出生率を示す人々が存在することを示しました。彼らの卵子は、同じ数でもより多くの命を育む可能性を秘めているのです。この知見は、卵子の数ではなく質こそが…

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社会の変化のスピード

現在、我々メディカルパークグループ(医療法人桐杏会)のテレビCMがフジテレビで放映されています。ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。少し前にスキャンダルが報じられたこともありましたが、それでもフジテレビは依然として日本を代表するマスメディアのひとつです。かつてフジテレビは新宿・河田町にあり、東京女子医大のすぐ近くでした。学生時代、あの界隈を訪れた記憶があります。確か社内食堂は一般にも開放さ…

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若さと愛と未来へ

私の好きな歌に、こんな一節があります。 「若さ、若さってなんだ、振り向かないことさ。愛ってなんだ、ためらわないことさ。」この言葉には、若さと愛の本質が凝縮されているように感じます。若さとは、過去に囚われず前を向く力。愛とは、迷わず誰かを思い、行動する情熱。私たちの身体は年齢とともに変化し、若さの持つ活力や情動の勢いは、やがて穏やかに形を変えていきます。もちろん、感情や情動はホルモンの影響を受けやす…

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生物学的な違いとジェンダーギャップ

このような話題に触れると、時に批判の対象となるかもしれません。ですが今回は、不妊治療の現場に身を置く者として、日々感じていることを率直に綴ってみたいと思います。まず大前提として、性別による差別や役割の強制は決して許されるべきではありません。しかし、妊娠・出産に関しては、生物学的に男女の役割に明確な違いがあることもまた事実です。子どもを持つかどうか、いつ、何人持つかという選択は人権の一部であり、尊重…

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学会発表報告:第43回日本受精着床学会総会・学術大会

先日名古屋にて開催されました第43回日本受精着床学会総会・学術大会にて、当院から培養士2名が参加し学会発表をして参りました。 以下は胚培養士の発表内容です。 ポスター発表:凍結融解胚移植周期におけるアプリケーターの有無による臨床成績の比較検討 凍結胚移植で使用するプロゲステロン膣座薬には、指で挿入するタイプと専用のアプリケーターを用いるタイプがあります。 当院では2023年に移植を行った患者さんの…

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卵子凍結キャッシュバックキャンペーンのお知らせ

将来の妊娠に備えた「計画的卵子凍結(社会的卵子凍結)」に関心が高まる中、東京都では最大20万円の公的助成制度が整備されており、18歳〜39歳の都民が対象となっています。さらに、2025年度からは子ども家庭庁が希望する自治体に対して卵子凍結の助成を行うモデル事業を開始する予定であり、全国的な制度拡充への期待も高まっています。 一方、神奈川県では現時点で社会的卵子凍結に対する公的支援はなく、がん治療な…

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🙋見てほしいものがあります🙋‍♀️

みなさんこんにちは!看護師/体外受精コーディネーターの鏑木です🙋‍♀️ 先日、趣味を楽しむために千葉へ行ってきました🌊⛳ 千葉の南側、夏はみなとみらいより大体3~5℃も気温が低く、巷でも避暑地と言われているのですが、みなさんは行かれたことがありますか?外に居てもわりと過ごしやすい感じで、毎年ちょこちょこ足を運んで楽しんでいます。美味しいものもたくさんあって、とってもオススメです。(太陽の暑さには割…

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流産・不育症の原因かも?「ネオセルフ抗体」について

今回は流産と不育症について焦点を当てていきたいと思います。 不育症とは? 2回以上の流産や死産の経験があれば不育症と診断されます。すでにお子さんがいる場合でも、2回以上の流死産を経験していれば不育症といいます。 不育症を引き起こすリスクや原因は様々ですが、特定するためには検査が必要になります。 不育症の原因について 不育症のリスク因子として などが挙げられます。 原因によって治療法が異なりますので…

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医療格差の衝撃――地域によって変わる「受けられる医療」

私は高知県の片田舎で育ちました。先日、高知大学医学部附属病院で県内初となる無痛分娩が行われ、母子ともに健康な出産が報じられました。実は、高知県は全国で最後まで無痛分娩を導入していなかった県です。一方、東京では自治体が無痛分娩に助成金を出す動きすらあります。この圧倒的な地域差を前に、医療資源の偏在を改めて痛感しました。 無痛分娩導入の遅れが示すもの無痛分娩を実施するには、麻酔科医や専門助産師など複数…

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