受精卵着床前検査

preimplantation test

受精卵着床前検査

PGT-A(Preimplantation genetic testing for aneuploidy)とは着床前診断のひとつで、「着床前胚染色体異数性検査」と呼ばれています。欧米では流産を防ぐ目的で既に実施されていましたが、日本国内では生命倫理の観点から、一般には認められていませんでした。
しかし次第に国内でもニーズが高まってきたことを受けて、「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」として承認を受けた施設(※)でのみ実施することが許されています。
近年の研究によって、年齢が高くなればなるほど受精卵における染色体異常が増えることがわかっており、これが原因となって流産や反復着床不全となる可能性が高まります。
流産とは、妊娠22週未満に妊娠が継続できなくなることを指し、日本の体外受精での流産率は25%程度というデータもあります。
また、妊娠12週未満の初期に起こる流産の主な原因は「赤ちゃんの染色体異常」と言われています。
そのため、体外受精によって得られた受精卵の染色体数を予め検査し、染色体に問題のない胚を移植することで、染色体の異常による流産を避けることが期待できます。

PGT-A検査には患者様にとってのメリットとデメリットがあります。
メリットは胚の染色体数を予め調べることで流産のリスクを回避できる可能性が高まることです。これは不妊治療において大きなメリットになる、と考えられます。
一方、デメリットとしては、検査を行うためには胚の一部を採取する必要があるため、検査によって胚にダメージを与える可能性があることです。また、全ての胚が同じ染色体数であるとは限らず、必ず流産を防ぐことができるとは言えません。
これらの理由から、検査を受ける前に生殖医療専門医や培養士にご相談ください。
また、PGT-A検査に対する理解を深めていただくために、日本産科婦人科学会が制作・監修した説明動画とチェックシートが用意されています。これから本検査を受ける方は必ずご視聴、ご確認ください。