先進医療
general infertility treatment
「先進医療」は、まだ保険診療として認められていない⾼度な医療技術等について、安全性・有効性等を確保するための施設基準等を設定し、保険導⼊に向けた評価を⾏う制度です。
同じ治療において、保険診療と⾃費診療の併⽤は混合診療となり認められませんが、先進医療については、保険診療との併⽤が可能です。当院では、以下の治療については先進医療として保険診療との併⽤が可能となります。
※ 先進医療の条件等は変更になる場合がありますので、当ホームページ等で最新の情報をご確認ください。
ZyMōt・PICSI・SEET法・⼆段階移植法
ZyMōt(ザイモート)
膜構造を⽤いた⽣理学的精⼦選択術
- 精⼦調整の際に、特殊フィルターを通すことで精⼦へのダメージを抑え、短時間で良好な運動性精⼦を回収できる⽅法です。
- PICSIとの併⽤も可能です。
PICSI(ピクシー)
ヒアルロン酸を⽤いた⽣理学的精⼦選択術
- 顕微授精で精⼦を選択する際に、ヒアルロン酸を⽤いることで、成熟した精⼦を選ぶ⽅法です。
- 選別により胚の染⾊体異常の割合が下がり、流産率の低下が期待されます。
SEET法
⼦宮内膜刺激術
- 胚移植の数⽇前に胚培養液をカテーテルで⼦宮へ注⼊し、着床に適した環境をつくる⽅法です。
- ご⾃⾝の胚を胚盤胞まで培養した培養液を凍結保存し、胚移植時に使⽤します。
- ⼆段階移植よりも多胎のリスクを抑えた状態で、着床率や妊娠率の上昇が期待されます。
⼆段階移植法
- 胚移植の際、先に初期胚を移植(ET)し、数⽇後に胚盤胞を移植(BT)する⽅法です。
- 初期胚移植で⼦宮内膜を着床に適した環境へ誘導し、そこへ胚盤胞を移植することによる着床率、妊娠率の上昇が期待されます。
- ただし、多胎のリスクが⾼くなる可能性があります。
ERA・EMMA・ALICE
ERA
子宮内膜受容能(ERA:Endometrial Receptivity Analysis)検査とは、体外受精で良好な胚移植を複数回⾏っても妊娠しない、反復して着床が不成功となる症例に対して⾏う検査です。
反復着床不成功例では、子宮内膜が必ずしも準備が整っていない、着床可能な状態になっていない場合があります。つまり⼦宮内膜が受精卵を受け⼊れるタイミングが決まっているわけですが、その時間や時期には個人差があるため、適切なタイミングで胚移植を行うことで妊娠が可能になると考えられています。
ERA検査では融解胚移植を行う場合、移植する日の子宮内膜が着床可能状態にあるかどうかを、遺伝子レベルで調べる事ができ、移植に最適な時期を判断することができます。ERA検査の結果より、20~30%近くの方が着床可能なタイミングがずれていた、という事が分かってきています。
EMMA・ALICE
前述のERA(子宮内膜受容能検査)をするために採取する細胞で次の検査も一緒に行えます。一度の検体採取で子宮内の環境が胚移植に最適な状態であるかどうかを判定することができるため、当院ではERA+EMMA+ALICEの3点セット検査(TRIO検査)を実施しています。
EMMA(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis)
EMMA検査とは“子宮内膜マイクロバイオーム検査”と呼ばれるもので、子宮内の細菌叢をみる検査です。
近年の研究で、子宮内膜の細菌叢の存在が明らかにされ、子宮腔の菌共生バランスが崩れると、ARTの治療成績不良に関連することが示されています。
ALICE(Analysis of Infectious Chronic Endometritis)
タイムラプスインキュベーター
インキュベーター(胚培養器)は、お預かりした胚を培養するための体外受精では欠かせない医療機器です。
自然妊娠の場合、受精卵はお母さんの子宮内部で成長しますが、インキュベーターはできるだけその環境に近い状態になるよう設計されています。
ARTではこの機器の設定や管理が治療成績に大きな影響を及ぼします。当院では治療成績の鍵となる培養環境の構築に関して、一切の妥協を排除して世界最高水準を目指し、タイムラプスインキュベーターを採用して厳格な管理を行っています。当院のタイムラプスインキュベーターには以下の特徴があります。
培養環境のモニタリング
タイムラプスとは、時間(time)と経過(lapse)を意味する単語で、撮影において同一アングルで静止画を一定間隔で撮って並べ、動画として流す方法のことです。培養器にこのタイムラプス機能を付加することで、医師や胚培養士は常に胚の経時的変化を観察できるようになり、受精の状態を的確に把握することが可能です。
最適な培養環境
培養器の開閉を最小限に抑えられることから、温度やPH濃度を安定して維持することが可能となるため、最適な培養環境が提供できます。卵に対する不要なストレスを排除して培養を行うことが出来ます。
AIによる解析
培養器とコンピュータを接続して、AIによる卵の解析が可能です。過去の膨大な培養データを基に、AIが客観的に卵の成育状況を解析し医師や培養士にデータを提供するため、より良好な胚を見極めることが出来ます。
子宮内膜フローラ検査
EMMA, ALICE検査では、検出限界があった細菌培養や組織学的診断に代わり、子宮内膜の細菌群と感染を遺伝子学的に検査するものです。
次世代シークエンサー(new generation sequencer:NGS)を用いて子宮内腔液に含まれる細菌の遺伝子解析を行い、通常の培養検査または、子宮鏡、病理学的検査では困難な子宮内細菌叢の正確な把握が可能となります。
検査結果に基づいて治療を行うことで着床率や生児獲得率が改善する可能性がある、と言われています。
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内膜フローラ検査について詳しくご説明しております。